誰かに手助けしてもらった時、どちらかの感情が芽生えますよね
「うわー、マジありがたい!」
「いや・・ちょっと余計なお世話かな・・」
後者の場合、相手から嫌な態度を示されても文句は言えません。
ではこんな場面はどうでしょうか。
ATMでお金をおろしたいとしましょう。
一台のATMにあなたは向かいます。
そして、向こう側から他人がやってきて、相手もまた、一台しか空いてないATMに向かっています。
ほぼ同時にATMにたどり着きましたが、わずかにあなたが早いです。
たぶん、こうなりますよね
「あ・・・」
すると相手が、自分のほうが遅かったのを認めたのか順番を譲ってくれました。
が、その時の態度です。
嫌そうな顔つきに変わり、そっけなく
「・・・・・どうぞ」
さて、あなたはどのような対応をしますか?どんな気持ちになりますか?
正解があるわけではありませんが、こういう方もいるのではないでしょうか。
(何あの態度、うざ。気持ちよく譲れないのか?)
(なんでそんな態度されなきゃならないんだ?これ、お礼言わなきゃだめか・・?)
気持ちは痛いほどわかります。
こんな事なら相手に譲っておけばよかったと思う事もあるでしょう。
お礼を言う気持ちも失せますよね。
「仮にも順番を譲ってもらったんだ。相手も急いでたんだとしたら気持ちわかるだろ?ちゃんと丁寧にお礼言うべきだ」
実はこれ、奇麗事です。
返報性の原理 エビデンスレベル3
「返報性の原理ってさ、いい事されたらいい事を返してあげたくなるやつのことじゃないの?」
たしかに返報性の原理は『自分が何かしてもらったら返したくなる』心理として有名です。
ですがそれだけではなく、冷たくされたと感じたら返す気がなくなるというのも返報性の原理にあたります。
つまり、攻撃性を示されたら冷たさを出して応じてしまうのも返報性の原理の一部です。
負の返報性
Molm, L. D., Quist, T. M., & Wiseley, S. P. (1994).
無礼や攻撃、冷淡な態度を受けたときに、同様の行動や感情で返す事を指します。
社会交換理論や報復行動研究でも、この「ネガティブなやり取りの連鎖」が報告されています。
実験結果
相手から冷淡な対応を受けると、感謝や協力意欲が減少することが確認されています。
Impressions and behavior in reciprocation: The role of relationship structure. Social Psychology Quarterly, 57(2), 100–112.
冒頭に「手助け自体はありがたいけど今は余計なお世話」という感情を紹介しましたね。
それがもし態度に漏れてしまい、相手がそれを感じ取って嫌な感じを示してきた場合は、返報性の原理に則った反応になるため、根本が相手ではなく自分になってしまうわけです。
だから文句は言えないという書き方をしました。
情動的共鳴 エビデンスレベル3
「返報性というか・・防衛本能じゃね?」
このように思った方、鋭いです。
先ほどの日常例は、返報性の原理で説明できる場合もあれば、感情の伝染という見方もできるんです。
相手の怒り顔や不機嫌がこちらに伝染する事ってありませんか?
これには、人は無意識に他人の感情を「模倣」してしまう傾向が背景にあり、ムッとした顔を見ると自分も構えてしまうんです。
今回の例でいえば、譲ってもらったのに「お礼を言おう」という感情が失せた流れ。
これは、無意識に「敵意を感じ取って心を閉ざした」という見方もできるわけです。
①ミラー・ニューロン
①他者の行動や表情を観察すると、自分の脳内でも同様の神経活動が生じる事が発見されています。
②情動的共鳴
他人の表情や態度が、自分の感情にも影響する現象。
笑顔を見ると自分も気分が上向く一方で、怒った表情を見ると不快感が増す事が確認されています。
②Gallese, V., & Goldman, A. (1998).
Mirror neurons and the simulation theory of mind-reading.
Trends in Cognitive Sciences, 2(12), 493–501.
Hatfield, E., Cacioppo, J. T., & Rapson, R. L. (1993).
Emotional contagion. Current Directions in Psychological Science, 2(3), 96–100.
まとめ
親切をされたのにお礼を言う気が失せる事は生きていれば必ずあるでしょう。
しかしそんな状況が来て、自分のことを「器が小さい」と卑下する必要はありませんし、そのような人に対し「器が小さいね」と言ってしまうのはかなり視野が狭いです。
しかし、かといって悪意に対し敵意を出して身を守るばかりやっていては疲れますし人間不信にもなりかねません。
そんな時、相手の事情を少し読み取る事をしてみると「まぁ、そうなってしまう理由があったんだろう」と、割り切れるかもしれません。
さらに、アドラー心理学の『課題の分離』という考え方をすると、自分の精神をしっかり守れるため、非常に役に立ちます。
どこかのタイミングで紹介しますのでお待ちください。
今回はここまでになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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