「我慢と忍耐は違う」それ具体的にどういうこと?

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この数字はAI(ChatGPT)による情報源の分析結果と著者の評価を基に設定しています。元となる参考文献は記事内に掲載しています。(ショートブログ除く)

「我慢と忍耐は違う」

突然ですが、この言葉の違いを明確に説明できるでしょうか。
私はできませんでした。

今回はそのうえで学んだことをお伝えします。

この違いがわかれば、自分は我慢しているのか・忍耐しているのかを冷静に見つめなおすことができ、自分のエネルギーの使い方を間違えずに済むかもしれません。

「あれも耐えなきゃいけないし、これも耐えなきゃいけないし、しんどいわ。でも忍耐だと思ってやり切らないとね・・・・」
「そんなのも我慢できないの?忍耐力ないねぇ」

どこにおいても我慢の繰り返しでは忍耐もくそもありません。くそって言っちゃった。
八方ふさがり状態では力はつかず、心身ともにすり減っていきます。

その区別をつける手助けとなれば幸いです。

我慢と忍耐の定義 エビデンスレベル4

心理学的に「我慢」「忍耐」異なる概念として扱われます。

我慢(Endurance / Tolerance / Patience)

ネガティブな感情や状況を耐えながらも、根本的な解決策を取らない状態を我慢といいます。「無理をして耐える」「自分を抑え込む」という側面が強く、心理的ストレスが蓄積しやすい事が言われています。

「嫌な仕事を文句も言わずに続ける」「人間関係のストレスを抱え込む」

これは我慢と言えるでしょう。

我慢だから放棄して良いわけではありませんが、我慢を抱えすぎる事が心身ともに良くない事は覚えておいてください。

忍耐(Perseverance / Grit / Persistence)

目標達成のために、戦略的に困難に適応する能力の事です。
自己決定的に状況を選び、成長につながる努力をする事を指します。

「目標のために計画的にスキルを身につける」「一時的な困難を乗り越えて自己成長する」

目的をもって耐えているのがわかるでしょうか。

「なるほどわからん!意味合いが同じに見えるけどなぁ・・」
「勉強って忍耐なの?『怒られるのが嫌だから勉強する』の場合はどうなの?我慢では?」

怒られるのが嫌だから頑張るというのは、いわば恐怖やプレッシャー等から逃れるために受け身で行う(外発的動機である)ため、心理学では忍耐ではなく我慢とみなされます。

我慢と忍耐の科学的な違い エビデンスレベル2

そもそも、我慢って言われると「嫌だけどやるぞ・・・」と、耐えているようなイメージがしませんか?
そのうえ、忍耐と聞くと「『耐』える」という漢字が使われるのでややこしいイメージを持っても仕方のない事です。

ところがこの二つの単語。
例えば英単語を読み解こうとすると意味が全然違うんです。

Perseverance(忍耐)
パーサビアランスと発音するようです。
意味は、困難・失敗・反対があっても何かを達成しようと努力を続けること。

Endurance(我慢)
エンデュランスと発音します。
「忍耐」と訳されることがありますが、ニュアンスに違いがあります。
特に困難や逆境に耐え抜く力という意味合いが強く、身体的または精神的に長期的な苦痛や困難を乗り越える力を指します。
この意味で「忍耐」と近い部分もありますが、より「持続的に耐える」「長期間の試練に耐える」といったニュアンスが強いです。

我慢、または、忍耐、と訳される英単語は他にもあります。

Merriam-Webster Dictionary
Oxford English Dictionary

物事を受け入れてるのかどうか、耐える動機が自分の内側からなのか外側からなのかが違っています。

参考文献にDictionaryとあるように、辞書からきています。

つまり、忍耐自分で目的をもって耐えている状態で、我慢耐える目的が自分発端ではない状況を意味します。

さて、我慢と忍耐にはそれぞれどんな影響があるのかを見ていきます。

我慢はストレスを悪化させる

感情を抑え込む(我慢する)とコルチゾールが増加し、うつや不安障害のリスクが高まる。

データでは感情を抑制する人は、抑えない人に比べてストレスが高く対人関係の満足度も低いことが示されています。
この研究から、感情抑制がストレスの増加や対人関係の満足度低下と関連していることがわかりました。

Gross, J. J., & John, O. P. (2003).
“Individual differences in two emotion regulation processes: Implications for affect, relationships, and well-being.” Journal of Personality and Social Psychology, 85(2), 348-362.

忍耐は成長につながる

忍耐は「意味のある目標に向かって、柔軟に適応しながら困難を乗り越える能力」であり、ポジティブな心理的影響をもたらします。

データでは自己制御(忍耐)が学業成績や成功に、強い影響を与えることが示されている。

また、忍耐力を持つ人は、困難な状況に適応しやすく、長期的な幸福感が高いとされています。

Duckworth, A. L., & Seligman, M. E. P. (2005).
“Self-discipline outdoes IQ in predicting academic performance of adolescents.” Psychological Science, 16(12), 939-944.

Masten, A. S. (2001). “Ordinary magic: Resilience processes in development.” American Psychologist, 56(3), 227-238.
「はい、自分には忍耐力なんてありませーん。自分の人生の幸福度おわった。詰んだ」

お待ちください。
この記事では忍耐している人や忍耐力がある人、忍耐するを上手に選べている人優遇する場ではありません。

あなたが特に意図せず意識もせず、無自覚にただ我慢している環境または状況なら早めに手放し忍耐なら手に持っていてOKという事を言いたいんです。

その上で「どれが我慢でどれが忍耐?」という疑問を解消させるために定義を説明しました。

何より、我慢のしすぎでエネルギーを大量消費し、忍耐すべき場面エネルギー切れを起こしていてはあなたの人生の中では本末転倒になってしまいます。

忍耐できないのではなく、我慢ばかりの環境にいる事になっていないでしょうか。

まとめ

我慢と忍耐の違いがわかったでしょうか。

例えば

「仕事に行くの嫌だし好きでもないけど生きるためには仕方なく耐えてる」

これは忍耐ではなく我慢です。
この状況が続けばストレスは蓄積し、自分で望む選択肢を繰り返せていない幸福感は低下していきます。

「テストでいい点とりたいから勉強めんどくさいけど頑張ってる」

これは忍耐なんです。苦労を自分で選んでるイメージですね。

「我慢が駄目なんてことは百も承知だよ。けど生きるためにはしょうがないだろ?何言ってんだ?」

そうわかっていても受け入れ切ることができず、心が病んでしまう方も大勢います。
「生きるためにはしょうがない」でなんとかなるほど人の身体は単純ではありません。

「生きていくために耐えなきゃいけないのに、自分にはそれができない・・」

もしかすると、我慢と忍耐をごちゃごちゃにしていて、我慢が多すぎるせいで疲れ切っているのかもしれません。

あなたは今、我慢をいくつ抱えていますか?
仕事ひとつをとっても「朝起きる」「嫌いな人と話す」「体を動かす」と、我慢が必要な面はたくさんあります。
一つでも多くの我慢を手放し、我慢と忍耐の整頓ができれば生きやすさが増えます。あなたの場合は何が起こると思いますか?

今回はここまでになります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

『我慢と忍耐を魔法の言葉に変える: 我慢は人生を窮屈にする』(西秀騎)

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