うつ症状に苦しんでいる相談を人にしたことありませんか?
その相談が知らない間に他へ広まっている経験はありませんか?
やがて
「いつも服装綺麗だよねー、でも鬱なんだって?」
「あいつさ、鬱っていう割には髪型整ってるよね。あれ嘘じゃない?」
「鬱の人は身だしなみに気を付けきれないって聞いたよ、だから鬱なんだってさ」
「だからあの自称鬱は所詮『自称』だったんだよ(笑)それなら私も鬱だわ(笑)」
ひっぱたいてやりたくなりますね。
知識がある人、経験がある人は絶対にこんな言葉をかけません。こんな解釈もしません。
「そうやって寄り添われるのは嬉しいけど根拠ないんじゃない?」
あります。
心の乱れは生活習慣の乱れ エビデンスレベル2
確かに、うつ症状を持っているから表面上にも出るという考えは正しく、科学的にも示唆されています。
「服装、部屋、習慣の乱れは、心の乱れだ!」と聞いたことがあると思います。
これは「心に影響するから気をつけようね」という警告の意味ですよね。
逆も解明されていて、心が乱れているから服装や部屋、習慣に影響するという研究もあり、結論、どちらも起こりえます。
うつ病や不安障害との関連性
American Journal of Psychiatry
うつ状態や強いストレスを感じている人は、自己管理やセルフケアが疎かになりがちです。
たとえば、うつ病患者は日常生活での身だしなみや家の掃除に手が回らなくなることが多く、結果として服装や部屋の乱れとして現れることが知られています。
研究では、うつ状態と自己管理行動(例:服装、部屋の整頓)の低下との関連が報告されています。
認知機能の低下
「No Place Like Home: Home Tours Correlate with Daily Patterns of Mood and Behavior」Saxbe & Repetti (2010)
ストレスや心の乱れは、計画性や注意力、意思決定といった認知機能を低下させるとされています。
その結果、普段なら行うはずの「整える」という行動が後回しになり、乱れた状態が続く可能性があります。
外見が整っている事も十分にある エビデンスレベル2
「あれ?結局表面上に出るって話じゃん?」
続きがあります。
ただし、鬱(うつ)状態であっても、必ずしも服装や部屋が乱れているとは限らず、外見や生活環境が整っている場合も多く存在します。
American Psychiatric Association (APA)
これは「表面的な適応」として、日常生活や職場での機能を維持しようとする心理的な努力の表れでもあります。
よって「鬱だったら服装や部屋が乱れているはずだ」というのは一種のステレオタイプで「嘘ではないか」と疑われたりするのは、正しい理解が不足していることの現れです。
心理学や精神医学の現場でも、鬱状態は多様な症状として認識されており、外見だけでその人の心の状態を判断するのは適切ではないとされています。
さらに、アメリカの診断基準(DSM-5)では、鬱状態の診断において、気分や興味・喜びの減少、エネルギーの低下、自己評価の低下など内面的な症状を重視しており、外見や身だしなみの乱れは必須条件ではありません。

よって、何も知らない人の知ったかぶりは、時に攻撃になります。
真に受けるのはもうやめましょう。
このように、うつ症状になると表面上に出る話もあれば、表面が整っているからと言って鬱状態を否定するのは全くの見当違いだという結論も出ています。
「なーんだ、結局のところ鬱かどうかはわからないって話?科学ってずいぶん保守的だね」
科学は、あらゆる事象に対し説明がつくのか付かないのかを明確に出してくれます。
善悪などの白黒を出すものではなく、アプローチ法を見出すために用いられるものです。
白黒がつくような絶対性はありません。特に、人の体において絶対はありません。あるなら病院いりません。
それを一般人が完全に理解しようとする、答えを一つに決めようとするのは知見が浅いことの現れです。
うつ症状も人それぞれで、あなた自身が自分の鬱を疑う必要はありません。
「鬱だ」「鬱かもしれない」と思ったら、その気付きを大切にし、状況を回復させることに集中していいんですよ
今回はここまでになります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。