【心が折れそう・折れている】燃え尽き症候群の本当の怖さと環境の見直し方

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この数字はAI(ChatGPT)による情報源の分析結果と著者の評価を基に設定しています。元となる参考文献は記事内に掲載しています。(ショートブログ除く)

皆さんは

  • 連休明けに仕事に対する気持ちが戻ってこない・切り替えられない
  • 先の未来がうまくいかなさそうなビジョンがよぎり、つまらなくなる
  • 何もかも未来に希望が持てなくなる

といった状態に陥ったことはないでしょうか。

そこで、最近の私の状態を打ち明けさせてください。

矢沙玖
矢沙玖

あまりにも仕事がしんどくて体調までおかしかったので早退をしました。

早退した分、その日だけでも体が休まり、時間にも余裕ができたのに何も気力がわきませんでした。

ここ最近、仕事を変えようと思っているのですが、求人を探す気力もわかなければ、こうしてブログを書く気力もわきませんでした。

そして、気力が湧かないだけでなく、未来に希望が持てない感覚が走り続ける時間がありました。
具体的には、転職も記事をうまく書くこともできない未来がよぎり、人生の改善自体が全く進まないようなビジョンが頭によぎっんです。

さて、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、これは典型的な燃え尽き症候群です。

「燃え尽き?ああ、聞いたことあるある」
「燃え尽き症候群ね、なんか頑張りすぎてやる気なくなるあれだよね」

軽く知っているだけではかなり危険で、この燃え尽きがどれだけ人生を悲しく見つめてしまう原因となるかを解説します。

もしかしたら、当てはまる方もいらっしゃるかもしれません。

燃え尽き症候群はなぜ発症するのか? エビデンスレベル2

さてまずは、実際に科学的に出ている燃え尽き症候群の例がこちら。

  • 「何をしても報われない気がする」
  • 「休んでも気持ちが戻ってこない」
  • 「思考がネガティブに傾き、現実よりも悲観的な未来を想像してしまう」

自分で書くのもおかしい気はしますが、複数の観察研究・精神科臨床事例では真面目な人や責任感が強い人が発症しやすいとされています。

そして神経学・脳科学分野の研究の解説では

脳は「やりがい」「達成感」で報酬系(ドーパミン)が活性化し、行動力が上がるとしていますが「頑張っても前進していない」と感じる時間が長いと、ドーパミン系が抑制され、思考停止や無気力が起きると説明しています。

真面目に責任感を持って、どんな仕事にも「はい、わかりました」と取り組んでいても、達成感など報われる感覚が得られなさすぎる燃え尽きになりやすいわけです。

では、冒頭の私の例を使って考えてみると

「一体どこで「頑張っても前進していない」と感じたんだ?」
「報われなかったってこと?どこでそうなった?お金?」

と、原因がどこにあるか気になりますよね。

「頑張ったのに給料少なかった」「残業代が支払われてないし、会社は難癖付けて正当化しているから絶対に払われない」これももちろん、報われなさによって燃え尽きになります。

ですが、私が明白に報われなさを覚えたのはこの瞬間です。

矢沙玖
矢沙玖

私の仕事はタイムリミットが厳しいです。

そのうえ、その業務の後には高負荷な仕事が残っていますが、それを手伝ってくれるパートさんがいます。
しかし、決まった時間までに作業を終えなければ、それをお手伝いをしてくれるパートさん達が帰ってしまいます。

ところが現状、その作業というのはベテランの先輩でさえ間に合うかどうか安定しないほどのタスク量です。
私は当然、ベテランではありませんので確実にお手伝いさんが帰っている状況です。
なので、身体に高負荷な仕事が待っています。

そんな中、一日だけ作業がかなり軽めな日があったので頑張ってみましたが、ギリギリのところで間に合わず、結局後負荷の作業は一人でやることに。

強く報われなさを感じた瞬間で、同じ時間に作業を終えた同僚と愚痴りあっていました。

私の場合は、はっきりと燃え尽きが発症する引き金を感じました。

皆さんもこのように「頑張ったのに報われなかった感覚」が生じたら、燃え尽き症候群に発展する可能性や学習性無力感を警戒してください。

学習性無力感
長期的なストレスや失敗体験、否定的な扱いなどが続くと「自分は何をやっても変わらない」という無力感を指します。
この無力感があると、次第に行動そのものが無意味だという感情が芽生え支配されてしまいます。

また、こういった状態では「自分の行動によって変えられる」という希望すら感じにくくなります。


研究データ
犬を使った実験があり、逃げようとする犬に対し電気ショックを与えるものです。
結果、電気ショックを受け続けた犬は、逃げられないうえに痛みを伴う事を学習し、逃げられる状況になっても動かなくなりました。
結論
これは人間にも適用され「どうせ無駄だ」と考えるようになる現象と同義だとしています。

Seligman, M.E.P. (1975).
Helplessness: On Depression, Development, and Death.
Abramson, Seligman, & Teasdale (1978)
Attributional reformulation of the helplessness theory of depression.

これは自己効力感も傷つけてしまいます。
つまり「自分だって頑張ればできる!」という感覚を弱めていくことになります。

この、学習性無力感をおぼえてしまうタイミングこそが、燃え尽きの引き金と言えます。

燃え尽きは人生を迷走させる エビデンスレベル3

冒頭の未来に希望が持てなくなる感覚といった言葉を覚えているでしょうか。

学習性無力感によって自己効力感が低下してしまうと、今後自分が取ろうと思っていた行動すべてが無意味に思え、全く関係ないところですら「どうせ現状こうだし、これもどうせうまくいかないんだろうな」と、悲観的になってしまいます。

例えば

  • 明日のデートも失敗する気がしてきた
  • なんかもう、ゲームを楽しめなさそう
  • 1年後の自分、笑ってるんかな・・・
  • 遊んでも楽しいか?
  • 自分が結果を出せるとは思えない。だって仕事でこうなんだぜ・・?
  • きっと辛いことを言われるだろうな・・
  • どうせ自分っていつもこうだから
  • 自分は楽しい目に合っちゃいけないんだ

これ全部、ただのネガティブな性格で片付く話ではありません。
鬱やトラウマでも生じることもありますが、燃え尽き症候群によっても生じることのある、人生を悲観する思考です。

ふとした失敗経験燃え尽き症候群の引き金になり、放っておくと自己効力感の低下情緒的消耗を引き起こし、人生に対する見方そのものが暗くなってしまうリスクがあります。

燃え尽き症候群(バーンアウト)
慢性的なストレスによって引き起こされる精神的・肉体的疲労、モチベーション喪失、自己否定感などの症状を指します。


特徴的な症状は以下の3つ(WHO, ICD-11で定義)
情緒的消耗感

心身ともに疲れきった感覚。希望が持てなくなる感覚に近い。
脱人格化
他者や活動に対して冷淡になる・疎外感がある。
個人的達成感の低下
「自分には価値がない」「頑張っても意味がない」という無力感。

Herbert Freudenberger(1974)

次に環境の部分を解説しますが、その前にすでにこの症状になっていたら絶対に休息をとってください。

誰かに愚痴る、組織や会社から離脱を決意する、不満を紙に書きだすなどしてメンタルを大切にしてください。

環境の見直し

ここで誤解に気を付けたいポイントがあります。

①皆さんがそのように考えてしまう事や性格についてああだこうだ言ってくる声は、基本的に間違いです。
「その通りだ」と、表面だけ見た正しくもない正論に振り回されて感情を押さえつけないようにしてください。

痛みを理解できない共感性のない言葉だったり、根性論で説き伏せようとしたり、仕事なんだから割り切ろうなどと抑え込もうとする方法燃え尽き症候群の症状を放っておくに等しいです。

②ネガティブな考えが浮かぶことが悪い事ではありませんし、皆さんが悪いわけでは決してありません。
そのネガティブな思考は、燃え尽きによるSOSという判断ができ、それを解消するためにはどうすれば?といった解決へ向くチャンスでもあります。

③繰り返し燃え尽きの症状を感じる場合は、個人のせいではありません。
環境が要因となっている可能性が高いです。

その中でも、環境がいかに大切かについて解説します。

職場環境と個人のニーズの不一致が燃え尽きを引き起こす

個人の無意識的な動機、例えば、他者との良好な関係を求める「親和動機」や、責任を持ちたいという「権力動機」職場の特徴が一致しない場合、燃え尽き症候群のリスクが高まることが示されています。

他にも
自分の時間がしっかり欲しい
一人で落ち着いて業務をしたい
といった無意識な動機があるとすれば、自分の時間が全くないほどの長時間労働だったり、他者から関与されてばかりな状況は危険です。

こうしたミスマッチは隠れたストレスを蓄積させ、心身にダメージを与えることが分かっています。

チューリッヒ大学
ライプツィヒ大学

明らかに自分の希望とそぐわない環境にいませんか?
あるいは、後々になって見つかった自分の歩み方今の環境ズレ始めてきていませんか?

仕事の要求とリソースのバランスが重要

「仕事の要求-リソースモデル(JD-Rモデル)」によれば
仕事の要求
(例:高い業務負荷、時間的プレッシャー)が高く

利用可能なリソース
(例:上司や同僚からのサポート、裁量権)が少ない場合

燃え尽き症候群のリスクが増加します。
このモデルは、職場環境の要因が燃え尽きに大きく影響することを示しています。

Wikipedia

つまり、難しい事や大変なことを強いられているのに対し、受けられるサポートや協力体制が薄い燃え尽きになりやすくなるという事です。投げるだけ投げっぱなしの本部とかよく聞きますよね。本部も忙しい?担い手を気遣えないようじゃ「知らんがな」と言われても妥当です。

性格よりも職場要因の影響が大きい

そして、救急医療従事者を対象とした研究では、燃え尽き症候群に対する性格の影響は限定的なんだそう。
要するに、職場環境の要因がより大きな役割を果たすことが明らかになっているわけです。
特に、若年層や男性が燃え尽きのリスクが高いことまでわかっています。

どうやって環境を選べばいいか?

自分自身の価値観を改めて考え直す。
と言われても抽象的ですし、人によってはそれすら億劫です。

そこで、今の環境がこの6つの要素を満たしているか確認してください。

仕事量とリソースのバランス
業務量に対して適切なリソース(時間、人員、支援)を確保されているか。人手不足な現代ではここが一番難しいかもしれません

裁量権の拡大
業務における意思決定の自由度があるか。
つまり、自分で選べるかどうかです。ただし、会社に決められているほうが楽と感じる人もいます。

報酬と認知
成果に対する適切な報酬と評価があるか。

コミュニティの構築
支援的な人間関係がしっかりあるかどうか。

公平性の確保
業務や評価における公正な扱いを感じられるかどうか。
つまり、差別やひいきを感じるような環境はNGです。

価値の一致
個人の価値観(守りたいスタンスや目指す事)と組織の方針(組織が目指す方向と個人への保証)が一致しているか。
例えば、毎日家に帰りたいし別に昇給しなくてもいいのに、帰れない日もあれば転勤も頻繁にあり、しかもバリバリ出世させられる環境は不一致まったなし。


「6つの職場環境の不一致」
Christina Maslach
Michael Leiter

人によって考え方や価値観が違うため、私が一概に「こんな環境に移動せよ!」と言い切るのはミスマッチの元です。

よって、皆さん自身が価値観を定めたほうがいいのは確かですが、めんどくさいですよね?

なので、今の環境が自分とどれだけ合っているかを再確認し、合っていないとしたら「どこの部分が合っていないか?」をしっかり考えてメモに残しておくなどをすることが、次回のミスマッチを減らす事へつながりますし、価値観を見つめなおすよりよっぽど簡単です。

今の環境に不満がある方、燃え尽きに片足を突っ込んでしまっている方はぜひ自己対話形式でやってみてください。

自己対話に使える質問をご用意してまとめに移ります。

仕事に対して満足とはいかずとも妥協ができる給料をもらえていますか?
自分の送りたい生活スタイルは守られていますか?
なんであいつばっかり・・と感じる扱いを受けていませんか?見ていませんか?
話を聞いてくれる人や環境はありますか?
パワハラとも感じるような多すぎるタスクを背負っていませんか?
あなたが環境に対して違和感を抱いた時、6つのどれかに当てはまりましたか?

全部がマイナス回答になっていたら要注意です。というか考えるまでもないでしょう。

まとめ

燃え尽き症候群はよく聞く言葉だと思いますが、本当に危険です。
感じていたら絶対に放置せず、見直しを入れてください。

私も転職を決意しました。

個人の性格が問題なのではなく、環境が主な原因であり、環境と性格があまりにも不一致だと生じてしまいます。

「じゃあ性格も多少関係あるじゃん」

性格が関係あることと、その性格が原因であり悪い。と主張するのとでは意味が全然違います。

もちろん、個人の性格のために組織が整えるというのは難しい話ですし、求めても基本は通らないでしょう。

だからこそ、どれだけ不一致なのかをしっかり見つめなおす期間を設け、自分の人生の戦略を立てることが大切です。

燃え尽きがおきまくるような環境なら絶対逃げてください。

燃え尽きは自分の仕事や組織だけでなく、人生までもつまらなく見せてしまうとんでもない症状です。
そしてその燃え尽きは、6つの職場環境の不一致に該当するほど生じやすく、頑張っても報われなかった経験が学習性無力感となり、引き金になることもあります。

今回はここまでになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

『燃え尽き症候群:心が疲れきってしまう人たち』松崎朝樹

『なぜあなたはやる気が出ないのか』池谷裕二

『学習性無力感と心の病』信田さよ子

『疲れすぎて眠れぬ夜のために』内野博之

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