皆さん、お風呂入ってますか?
シャワーで済ませていませんか?
「うるっせぇなぁ・・ほっとけよ・・・」
私もそっち側でした。
しかし、こんな情報に触れてからは危機感が急速に増しました。
浴槽に浸からないデメリット エビデンスレベル3
- 自律神経の乱れ・ストレス耐性の低下
- 不眠・睡眠の質の低下
- 慢性疲労・肩こり・冷え性の悪化
- 肌トラブル(乾燥・角質肥厚・炎症など)
- うつ傾向・不安感の増大
- 便秘・消化不良
- 加齢臭のリスク爆増
簡単に挙げるだけでもかなりあります。
その中でも今回は加齢臭について取り上げます。
これらの項目のうち、どれもやばいことに変わりはありませんが、加齢臭という単語には特に敏感に反応したのではないでしょうか。
「え・・加齢臭なんて絶対やだ」
と感じる方が多いと思ったので、読んでくださる皆さんには加齢臭のリスクを増加させてほしくないため、解説します。
まず、これだけでも覚えていってください
浴槽に浸からない習慣は性別に関係なく加齢臭のリスクを爆増させます。
加齢臭のメカニズム エビデンスレベル3
「別に消臭剤でよくね?はい論破~(笑)リセッシュしまーしゅ、しゅっきり~(笑)」
無理です。
匂いに匂いを足しているだけです。
では仮にその状態に、近くに人の鼻が来る状況でも平気でしょうか。
「もういいよ・・・自分ちょっと匂うし、もう手遅れでしょ?」
改善可能です。
場合によりますが、無臭にできる場合もあれば、0とはいかずとも大幅に軽減することができます。
そこでまずは、なぜ加齢臭が発生するのかについて科学的な見解をお伝えします。
加齢臭の原因メカニズム
加齢臭の主因物質は『2-ノネナール』という脂肪酸の一種です。
これは40代以降に起きやすく、特に皮脂腺からの分泌物に変化が起こり、皮膚表面の過酸化脂質と脂肪酸の酸化反応によって発生します。
これは性別関係なく発生します。
また、10代でも生活・食生活の習慣によってわずかに検出されることがあります。
・加齢により 皮膚の抗酸化力(ビタミンEなど) が低下
・汗や皮脂の質が変化し、雑菌と反応しやすくなる。
・結果、酸化臭(古い油のようなにおい)が増加。
「体臭なんて絶対に嫌だ!本当に入浴で改善されるんだろうな!?」
繰り返しますが絶対に0になる確証はありません。
しかし、確実な軽減法や、そもそもの対策として、浴槽に浸かることが有効だというのは科学的にも証明されています。
浴槽に浸かる習慣が加齢臭を防ぐ理由 エビデンスレベル2
皮脂に含まれる不飽和脂肪酸(パルミトレイン酸など)が酸化することで臭いを発するという話がありましたね。
ところがその酸化物質はシャワーでは落としきれません。
そこで浴槽に浸かることで、温感によって毛穴が開き、皮脂分泌が促進されて自然に押し出されやすくなることが分かっています。
研究では、2-ノネナールの皮膚上での生成に「皮膚表面の洗浄状態」が大きく関与することが示され
東京工業大学と資生堂の共同研究
「洗浄+皮膚温上昇」の組み合わせが除去効果を高めると報告されています。
「え、そうなの・・?なんか、風呂に入ったほうが良い気がしてきた・・もっと根拠ないか?背中を押してくれ」
あらゆる角度から入浴による体臭へのアプローチをお伝えします。
皮脂・角質・老廃物の除去率がシャワーより高い
浴槽に浸かることで、皮脂腺の中にこびりついた脂分や酸化した脂質が温熱でゆるみ、流れ出やすくなります。
また、皮膚表面がふやけることで、古い角質や汚れが自然に剥離しやすくなります。
これは、シャワーだけでは届かない皮膚深部の皮脂汚れにアプローチできる事を意味します。
全身浴後は皮脂量が自然な範囲に整うことが報告されており、においの元である皮脂酸化物の量が減少したとしています。
皮膚科専門誌『Skin Research and Technology』
38〜40℃の温浴で10分以上の浸かり方が皮脂の「過剰残留」を抑制する効果が最も高いことも分かりました。
2-ノネナールの生成環境を物理的に阻害できる
加齢臭の原因物質2-ノネナールは
- 酸化した脂肪酸
- 空気中の酸素
- 皮膚表面の老化による代謝の低下
が複合的に関係して生成されます。
これが入浴により
- 血流促進 → 新陳代謝UP
- 汗腺の活性 → 老廃物排出促進
- 皮脂の酸化抑制 → においの原因物質そのものが減少
これらの効果を得られるため、2-ノネナールの発生源がそもそも断たれるか減少するという事です。
皮脂酸化とにおい生成の関係が立証されています。
The Journal of Investigative Dermatology
皮膚温を一定時間上げることで酸化抑制酵素活性が上昇するという知見もあります。
皮膚常在菌のバランス正常化
皮膚には善玉・悪玉の常在菌が存在しているのはご存知ですよね?
ここにストレス・乾燥・汚れの蓄積などで悪玉菌が優勢になると
- においのもととなる分解酵素の分泌
- 皮膚バリアの破壊
が進んでしまい、体臭や加齢臭が露骨に現れ始めます。

引きこもりのころの話です。
風呂先延ばし癖もあり、ポテチでお腹を満たす、食べては寝る。
という習慣をしていた事もあります。
そんな頃、使っていた布団が臭かった覚えがあり、その結果部屋までも臭い気がしていました。食事中の方すみません。
こんな状況では湯船で汗をかき、皮脂や老廃物を除去することは、皮膚の微生物環境をリセットし、善玉菌が優勢になる環境をつくる事になります。
研究では、38〜40℃の温浴が常在菌の多様性と安定性を高めることが示唆されています。
Microbial Ecology in Health and Disease
そして、体臭の強い人ほど悪玉菌の比率が高かったという統計も存在します。
汗腺機能の回復でアンモニア臭が減る
長年、湯船に浸からない生活をしていると汗腺が退化し、老廃物をうまく排出できなくなることが知られています。アポクリン腺とエクリン腺ってありますが、アポクリン腺のことです。
結果として、体内に溜まった老廃物が皮膚からアンモニアとして排出され、においが強くなるという現象が起きます。
こうなる前に湯船でしっかり発汗することで汗腺が再活性化し、サラサラした無臭に近い汗をかけるようになります。
「入浴発汗習慣が汗腺の機能と汗中アンモニア濃度に与える影響」を調査した結果、週4回以上の入浴者はアンモニア臭が有意に少ない傾向があることが分かりました。
臨床生理学研究
メンタルストレス軽減による体臭低減効果
ストレス、ストレスって嫌になりそうですが、ストレスが高い状態では
- アドレナリン分泌 → アポクリン腺刺激 → 強い体臭
- 皮脂分泌過剰 → 酸化臭
といったメカニズムが働きます。
つまり、心の状態が臭いに直結します。
そこでも入浴です。
入浴は副交感神経を優位にする。という話を聞いたことがありますか?
その効果によってコルチゾールと呼ばれるストレスホルモンを下げることがわかっており、これが間接的に体臭を抑えることを説明できます。
「温熱刺激が精神的ストレスと汗腺活動に及ぼす影響」が調査された結果、入浴後のコルチゾール濃度の低下と体臭軽減が関連していたという報告があります。
Psychoneuroendocrinology
「なんとなくわかったけどさ、ここだけの話、体臭結構きついんだよね。風呂だけでなんとかなる?」
習慣にする必要こそありますが、効果ありです。
残念ですが、脂質の酸化による臭いが数回の入浴で一気に消えることは稀です。
長年積み上げて生じたものを短期で解決してくれることはほとんどありません。
しかし、諦めるのも早いです。
実は、3〜4週間の継続入浴で皮脂腺の状態が改善され、においが軽減されたという報告も多数あがっています。
体臭の種類にもよりますが体内代謝系・皮脂系の臭いに対して浴槽に浸かることは、特に効果的だという事が分かっています。
「ふーん、なんか大げさに加齢臭について解説してる気がするけど、そんなに大事な事?」
加齢臭は人間が生きる上で悩みとして壁になりやすい現象です。
総じてこの体臭というやつは、清潔・不清潔の問題にとどまらず対人運に大きく影響します。
そしてその対人運は人生の幸福度に大きく左右します。
たかが体臭されど体臭です。
体臭が対人運を左右する具体的なデータ エビデンスレベル3
質問をいくつかします。
- 良い匂いの人と無臭の人、どっちがいいですか?
- 無臭の人と不快な臭いのある人、どっちがいいですか?
- 不快な臭いのあるレジスタッフと接客の悪いレジスタッフ、どっちを選びますか?(これはメンタリストDaiGoさんのYoutubeで紹介されていた実験内容と重複します。ちなみに私なら接客の悪いほうは選びませんがフードコートなどでの食べ物の受け渡しなら考えさせられます)
- 良い匂いの人って性格が悪そうな印象を抱きますか?
- 嫌な臭いの人の人格を疑った経験はありませんか?
良い人になろうと思わなくていいので正直にお答えください。
どう回答しようと自分の性格を卑下する必要はありません。
実は科学的にもデータが出ています。
「不快な体臭」は無意識的に人間関係の距離を生み出します。
(Social Psychological and Personality Science, 2018)
研究では、臭いの印象がその人の性格評価(誠実さ・魅力・近づきたいかどうか)に影響を与えることが報告されています。
また、強い体臭は職場などの人間関係の摩擦や誤解を生む要因になりやすいとも言われています。
たかが臭いされど臭いです・・・
さて、人間関係で摩擦や誤解を生むという表現がある時点で人生の幸福度への悪影響も察しが付くのではないでしょうか。
臭いが人生の幸福度に影響する エビデンスレベル3
想像してみてください。
夏の暑いとき、イライラしている人から
「くせーんだよお前!」
こんなの言われたら誰でも傷つきますよね。
これに対し、どのように反応しても決して良い人生には見えません。
「うるせぇ、嫌ならどっかいけばいいだろうが!」
「ごめんなさい・・・」
こんな経験があっては、とりあえず夏が億劫なのは言うまでもありません。
そもそも最近は春や秋らしさの気温がどっかいってますよね。
電車に乗らざるを得ないシチュエーションで周りからこそこそと
「臭くない?」
ズキンとするでしょう。「くさいなぁ・・」という目で睨まれても同様です。
では、周りに人がいなければ幸福でしょうか?
そもそも、臭いで不快にさせるのが嫌だから周りに人がいないことを望むんですよね?
これを防ぐためにも浴槽に浸かる習慣でしっかり対策してください。
心の傷につながってしまいます。
自分の体臭に不安を抱く人は、社会的交流を避ける傾向が強まり、孤立感や抑うつ感が高まることがわかっています。
(心理学レビュー誌 Frontiers in Psychology, 2020)
一方、体臭への対策(入浴、衣服の管理、デオドラントなど)を習慣づけた人は「対人ストレスの低下」と「自己効力感の回復」が観測されています。

かといって良い歳して「俺良い匂いじゃね?嗅いでみ?」は鬱陶しいですけどね。「ああ・・そうですね・・」以外に何言えばいいのか考えるのも面倒です。
まとめ
浴槽に浸からないデメリットが強烈に感じたかもしれません。
加齢臭ならびに体臭は人生に深く影響をもたらします。
耳が痛い話にも感じたでしょうし、所々で心が苦しい思いをしたかもしれません。
ですが解決策をしっかり提示しています。
浴槽に浸かればいいんです。
10分でいいので浴槽にお湯をため、そこに10分でいいので浸かることを始めてみてください。
「いやいや、なんでつまんない浴槽に何分も無駄にしなきゃいけないんだよ!」
ここまでお伝えしても、まだ浴槽に浸かることが無駄でしょうか。
では、入浴が快楽を得られる場所にしてしまうという方法もあります。
浴槽に入ることが幸せな瞬間へと変身させる方法を別の記事で紹介しています。
制汗剤、香水、消臭剤にお金をかけて体臭をごまかしているとしたら、そのお金でお湯を張る事に使うだけで臭いだけでなく健康も幸福感も得られます。
今回はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
『体臭と加齢臭の科学』成田 雅弘
『入浴と健康:温泉療法と現代入浴法』石塚 礼男
『皮膚は考える』山本 一哉
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