睡眠に関する興味をお持ちの皆さんを応援するため、3回に分けて睡眠の質向上法について科学的に正しい物を書いていきます。
初めは難易度が低い物を紹介しますので、取り組みやすい物を1つでいいので自由に選んでください。
よく言われている手法になるので、聞いたことがあるかもしれませんね。
「最近眠れないなぁ」や睡眠不足をちょっとずつ改善するために効果的な簡単な事
の紹介がメインになります。
何か一つでも実践し、あなたのタイプにピッタリ当てはまれば、効果が現れ始め、眠れるようになります。
目次をご用意しましたので「お、なんだろうこれ」と思うところに飛んでくださって構いません。
なお、睡眠薬を持っていない方でもできるように、睡眠薬を用いる方法は今回省いています。
睡眠の質向上法(取り組み難易度:低)
既に取り組んでいる方も多いと思われる項目を今回は紹介します。
「え、それやってるけど改善されないよ?」
残念ですが、「睡眠には絶対にこれ!」というのは存在しないのが世界的な答えで、わかっていない事もまだまだあるんです。
睡眠に限らず、医学は全てにおいて確定という断言は不可能で、確率が非常に高いという表現までしかされません。保険でもなんでもなく0.1%でも例外があるからです。
よって、個人の経験やその周囲の事実だけで、断言に近い主張や、科学の否定意見を根拠なくする人を信用するのは、個人の自由と発言の自由こそあれど危険です。周りにいませんか?
専門家の方々は「これは問題だ!」と行動を警告するだけでなくその対策として「これは科学的に効果があるよ」という物を数々残してくれています。
その中でも簡単な事を紹介していきます。
就寝前のリラックス エビデンスレベル3
寝る前のリラックスが、脳の興奮を鎮めてくれて、眠れる状態に移行しやすい事がわかっています。
リラックス法やホットミルクが睡眠に与える生理学的影響に関する研究。
ちなみに私は、たまーーーーーーにホットミルクを飲むぐらいで、深呼吸もストレッチもやっていません。
無理に取り入れる必要はありませんが、これを習慣にすることで、後日お伝えするナイトルーティンの形成に大きく影響してきます。
結論、脳に「あ、これから眠るんだ」という合図が伝わるようになるんです。
寝る時間の固定 エビデンスレベル2
「ああ・・・!0時に寝ようと思ってたのに30分もすぎてるじゃないか・・・!なんて自分はダメなんだ・・・・・」
こんなように思う必要は全くありません。むしろそんなストレスに思う必要はありません。
過去の私のように
- 夜中3時ごろにだいたい眠るという習慣があるのに対し、5時や6時まで起きてたり
- ひどいときは9時まで起きている、オールする。
なんていう事をしばしばやるのがまずいんです。
そんな時は、睡眠で困ってる自分に対し
Q.普段何時ごろに寝ますか?
Q.何時ごろに起きればすっきりしますか?
と聞かれたときに答えられるよう、自分の睡眠に関する理解を正確にしていくんです。
要するに自分が気持ちよく長く寝たうえで、すっきり起きられる時間帯を見つけるんです。
これは自分にしかわかりませんよ。
「え?自分は働いてるからそんなの探せないよ?」
むしろ、働いてて睡眠を犠牲にしてしまっているのなら、自分の命を大切にするためになおさらやっていただきたいんです。
仕事だから諦めるという事は、睡眠を、健康を諦めることになります。
働いていると起床時刻こそ固定されてしまいますが、眠りにつく時間を調整することはできます。
もしくは、後ほど紹介する室内の明るさや音の管理と組み合わせれば、働いていても睡眠を改善することはできるんです。ちなみに皮肉にも、私は社会復帰をして寝る時間が矯正されたことで睡眠の質が改善されました。悔しい。
また、こちらも柳沢正史先生の言葉です。
睡眠に関する研究で数々の実績を残している博士です。
この言葉を
『快適に眠れる時間が変わる事は普通なので、これまでの睡眠の認識を少し変えて、適した睡眠時間帯を探してみると、もしかしたら良い時間帯が見つかるかもしれません』と解釈しました。
温度管理 エビデンスレベル3
こちらは、金銭的抵抗がある人や、誰かと暮らしている方には難易度が跳ね上がります。
経済状況が全国的に苦しくなっている今、抵抗を覚える人がほとんどでしょう。私も例外ではありません。
寝る部屋の時間を18~22度にしてしまい、毛布などの温かい寝具を使います。
湿度も40-60%が良いとされています。
また、起きているときの室温もかなり大事になってきます。
私は寝る時間のみやってますが設定は異なり、夏場は25度前後で冬場は17度前後です。
「夏より冬、冬より秋が眠りやすいな」と思ったことはありませんか?
「その環境を冷暖房で作ってしまい、電気代で睡眠の質を上げよう!」という事です。
エアコンを低めに設定して、風で空気を循環させれば部屋全体を冷やせます。
この組み合わせなら、電気代を抑える助けになります。
もしエアコンや電気毛布を使うのが難しい場合、断熱カーテンや窓の遮熱フィルムを活用すると、夏も冬も室温の変動を抑えやすくなります。
自分に合った方法で、少しずつ快適な睡眠環境を整えるだけでもOKですよ!
室内の明るさ エビデンスレベル2
暗い環境では、メラトニンという睡眠ホルモンが分泌されます。
メラトニンは、体内時計に沿って眠気を誘ってくれます。そのおかげで眠れるんです。
「寝る時は部屋を真っ暗にしましょう!」ということです。
私は積極的に取り組んでいます。
むしろ神経質なので少しの光があると気になって眠れません。
ここまでになると逆にストレスです・・・
なので、部屋の電気がつけっぱなしで寝落ちなんかがあった日には、睡眠の質がダダ下がりになってしまいます。
複数の高品質な観察研究やランダム化比較試験(RCT)の結果に基づき、明るさがメラトニン分泌や睡眠の質に与える影響は広く認められています。
夜間にメラトニンの分泌を維持するためには、部屋を暗く保つことが重要です。
例えば、暗い環境下での睡眠はノンレム睡眠の割合を増加させ、翌朝の覚醒感を向上させることが示されています。
(Gooley et al., 2011)
ただ、人によってはほんのりとした光があると落ち着いて眠れる、といった事もあるそうです。
一説では、大昔の人類は焚火を起こして外敵から守りながら眠っていたという話があり、その名残で、ほんのりとした明かりと焚火の音がリラックス効果を生んでいるのでは?という話もあります。
音の管理 エビデンスレベル1
こちらも私は徹底しています。
騒音は睡眠の質を低下させることがわかっています。
それもなんと、小さい音でも無意識のうちにストレスが起こるという事までわかっているんです。
ランダム化比較試験や大規模な観察研究のメタアナリシスに基づき、音の影響が睡眠の質を著しく低下させることは科学的に確立されています。
WHOでは夜間の騒音レベルが40デシベル以下を推奨しており、遮音カーテンや耳栓の使用は、これを達成するための効果的な手段とされています。
なお、40デシベルの目安は「静かだなぁ」と感じる建物の中や小声より少しだけ大きいぐらいと言われており、通常の話声で60デシベルと言われています。
なので
バイクの騒音などもってのほか
「隣人の物音やいびき、セミの鳴き声ですらストレスになっているんですよ」という事ですね
ここまでわかっているのなら、バイクはもちろん、妥当性や正当性のない騒音行為は、被害者がそれ相応の対策を取っていた場合、暴行罪にしてもいいと思っています。思いませんか・・・?
おっと話がそれました!
夜勤の方で、顔が疲れ切っている人が多いのは、これが理由かもしれません。
夜勤なので朝や昼に寝るしかなく、しかしその環境はストレスを受けやすいため、必然的に睡眠の質が下がってしまいます。
都会ストレスもこの、音が関係しています。
音の影響を睡眠に持ち込んでしまい、睡眠の質が低下した結果、どうしても気性が荒くなる人もでてきてしまうのは科学的に見れば正しいでしょう。これは憂うつな話かもしれません。
音や光に悩まされている方は、それなりにお金を用意して遮光カーテン、防音、アイマスク、耳栓、温度管理に投資してみてはいかがでしょうか。
筆者の経験上、かなり快適になりました。
まとめ
さて、ここまで紹介しましたが、読んでいる方によっては当然すぎて参考にならないかもしれません。
次の後編では、リラックスなどのメンタルを安定させる方法と体験結果をお伝えします。
それでも参考にならない場合は、取り組みの難易度が上がりますが効果が期待しやすくなっていくものも用意していますよ。
今回はここまでになります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献
『スタンフォード式 最高の睡眠』西野精治
『ぐっすり眠れて、すっきり目覚める睡眠の技術』枡野俊明
『睡眠と覚醒の科学』柳沢正史
柳沢正史先生出演の動画(Youtubeにもあります)