人は譲れない感情を守るため【揚げ足取り】で根拠を強め、無意識に【嫌悪】し、【攻撃】に向かう。

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※当ブログは医療行為を意図するものではありません。エビデンスレベルの高さは治療効果や改善を保証するものではないため、身体に異変を感じている場合は必ず医師にご相談ください。

皆さんは、不意打ちレベルで攻撃をかけられたり、問題に直結しない揚げ足取りをいきなり受けた経験はありますか?

「この人こんなに色々言ってくる人だったっけ?」
「なんで揚げ足取ってくるんだろう・・」
「さすがに言いすぎ、理不尽だろ」
「そんなにため込むぐらいなら初めから言えよ」
「あれ、自分ってこんなに攻撃的だったっけ・・」
「些細な欠点じゃん・・そこまで拾う事か・・・?」

これらのことです。

実はこの状況が発生する理由には、攻撃する側が『譲れない信念』的なものを持っているという場合もあります。

結論をまとめると
攻撃側が自分の主張を強めたいがために少し盲目になっている状態です。少しじゃすまない人もいます。
タチの悪い正論マンになってしまうタイミングでもあります。

「え・・めいわk・・」

はい、迷惑ですよね。
ですが誰にでも備わっている心理です。

迷惑の一言で片づけて敬遠する思考では、いずれトラブルに発展したり日々ストレスがたまる日常の出来上がりかもしれません。

そこで今回はこの現象を「あの人の性格マジで苦手」で片付くことが無いよう、かつ、突然責められて混乱して相手の言いなりになって激疲れしないために、なぜ起こるのかを心理学の観点からお伝えします。

なお今回の記事は、相手が大切な人であるというのが前提です。
そこまで理解してあげたい間柄でない場合は距離を取っても構いません。

①防衛本能 エビデンスレベル3

当たり前ですが、人は誰しも否定されたいとは思ってません。
そして、譲れない感情をどこかで必ず持っているものです。

例えば
  • 親が子どもを心配する気持ち
  • 上司が責任感によって部下を指導しようとする気持ち
  • 恋人が相手を大切にしたい気持ち
  • 絶対に外したくない習慣
  • 頑張りを認めてもらいたい気持ち
  • 自分を蔑ろにされたくない気持ち

これらは本人にとって存在意義と直結しているため、否定されると強い不安や怒りが湧きます。

実際に否定されたり、否定されるかもしれない・・と思った瞬間、無意識にこう考えてしまういます。

「自分の感情を守るために、相手の欠点を示して正当性を補強しよう」

自己肯定理論
自己にとって重要な領域が否定される不安や防衛反応が強くなることを指摘しています。
逆に自己の価値を他の領域で確認できる攻撃性が下がるともされています。

Steele, C. M. (1988).
The psychology of self-affirmation. Advances in Experimental Social Psychology, 21, 261–302.

本人は至って真剣で時には苦しいのですが、主張がよほど正当でない限り、周りからすると迷惑モードに突入しかねません。

②欠点探しのメカニズム エビデンスレベル2

心理学ではこの現象を防衛的帰属投影と呼びます。

この単語を日常ではどのように解釈できるか言語化します。

言語化例
  • 自分の不安を相手に投影し、欠点を大きく見積もる
  • 感情を否定されたくないために、相手を悪者にする
  • 「自分は正しい」という根拠を積み上げようとする

その結果、普段は些細なはずなのに気になってしまい「どうしてそんなことまで言うの?」と受け取られる態度につながってしまうんです。

防衛的帰属
「なぜその出来事が起こったのか」を説明するとき、人は自分を守るために被害者や加害者への責任の帰属を歪める傾向のこと。


事故や不幸を見たとき「本人にも落ち度があったのでは」と考えることで「自分は大丈夫」という安心感を得る。
自分の気持ちがモヤモヤして攻撃性を秘めた時「いや待てよ?相手にだってこんなところが・・」というのも当てはまります。

Shaver, K. G. (1970).
Defensive attribution: Effects of severity and relevance on the responsibility assigned for an accident.
Journal of Personality and Social Psychology, 14(2), 101–113.

投影
自分の受け入れがたい感情・欲求・特徴を「自分のものではなく、他人が持っている」とみなす防衛機制

自分の中の怒りを認められず「あの人が自分を嫌っている」と感じる。
私は今イライラしている→「相手が怠惰だから。怠惰なのは自分のことを舐めているから」と、実際は舐めていない事が大半。

自分が認めたくない感情が生じた場合、原因をでっちあげて他者に押し付けて解釈する防衛機制です。

Freud, S. (1894). The Neuro-Psychoses of Defence.
Freud, A. (1936). The Ego and the Mechanisms of Defence.

ここで、知識を深めたい方向けにこんな違いも紹介しておきます。
とはいえ、認知的不協和と防衛的帰属の考え方を間違えないようにしたい!なんて人はわずかだと思いますので、矛盾防止の私の保険と思ってくださって構いません。

防衛的帰属と認知的不協和の違い

認知的不協和は、自分の意志に対し行動が伴わなかったとき、半ば言い訳のような文章を思いついて、その通りだと思い込もうとする心理です。

つまり

防衛的帰属→「外側の出来事の原因」を自分に都合よく歪める
認知的不協和→「自分の信念と行動の矛盾」を自分に都合よく歪める

人間には誰にでも備わっている心理です。

「人はみんな自分が一番かわいい」なんて言葉を聞くと思いますが、この心理がそう思う理由だったりもします。
この言葉を使っている人も結局「自分が一番かわいい」ので、言われてもムッとする必要はありません。ブーメランです。


③人間関係を壊す瞬間 エビデンスレベル2

このメカニズムが暴走すると、次のような悪循環が起こります。待ったなしです。

思い当たる節がある方もいらっしゃるでしょう。

①譲れない感情を守るために、相手の欠点を探す

相手の欠点を突く事で自分の主張って守れますよね。
人はその仕組みを自然と学習しているため、自分の話に説得性を持たせるため、相手の些細な欠点すら見逃さないようになります。いわゆる揚げ足取りです。

防衛的帰属投影が始まります。

②相手は「不当に責められた」と感じ、反発や萎縮をする

さて、そんな欠点指摘を受けると言われた側はどうなるでしょうか。

冒頭でありましたね。

「なんで揚げ足取ってくるんだろう・・」
「さすがに言いすぎ、理不尽だろ」

これです。

だけでなく、欠点指摘は半ば正論による圧でもあるため、素直な人の場合、実は些細なのに言い方によっては大ダメージかもしれません。

防衛心理が作動し「不当な批判」による心理的リアクタンスが起こります。
自由や自己評価が脅かされると、人は反発・反抗・萎縮のいずれかを示します。

③相手の反応がまた「やはり信用できない証拠だ」と思われる

それだけでは終わりません。
言葉を投げた後の反応次第でこうなります。
というかここまで来てしまうと若干トラブル不可避で少し手遅れです。

黙秘した場合
「ほらな、図星じゃないか。だから思うところがあったんだよ。最初は我慢できたよ?」
反抗した場合
「言いたくないけど悪いところを教えたというのになんだあの態度は!」
「図星だから逆切れしてきたんだろう?」

なんていうふうに、根本の心理からどんどんそれていき当初の意図を見失います。

これは個人に対してだけでなく、組織にも抱くことがある感情です。

嫌いになる事が目的になっているというやつです。

既に形成されたネガティブな予期などによって、相手の行動を「証拠」として解釈してしまいます。
これは確証バイアス帰属バイアスによって強化されます。

④不信感がエスカレートし、関係が壊れていく

本来は「守りたい気持ち」から始まったのに、結果的に大切な関係を壊してしまう。
これがこの現象によって起こりかねない最も悲しいパターンです。

返報性は負の方向にも働きます。

嫌いになる事が目的になってそれを果たしたら、相手に伝わって当然です。関係破綻です。

例えばドラマや漫画、アニメ、ゲームのシナリオなどで聞いたことはないでしょうか。
根本は立派なのに自分の考えを主張しすぎて周りが見えなくなり、配慮が消え、他者の欠点を無限に挙げ、すれ違っていくあのシーンです。

現実で起こるのはめちゃくちゃきついですし、そもそも現実ではフィクションの世界のように奇麗に終わったり美しい話になんてまずなりません。

人間関係の「負の返報性のサイクル」が起きます。

批判→防衛→さらなる批判→関係の悪化
という悪循環が続いてしまいます。

これは否定的相互作用のエスカレーション社会的交換理論によって説明できる現象です。

例えば、夫婦関係の研究で有名な例もあります。
破局を予測する4つの行動の一つに「批判・防御・軽蔑・石壁化」がある事がわかっています。

わかってたらこの流れを止めたいですよね?

たった今お伝えした①や②の段階で修復可能です。
そこで、どのように対処するかをお伝えします。

④冷静に対処するための視点 エビデンスレベル2

流れを変えるための鍵は相手の攻撃の裏にある感情を読み取るです。

例えば
  • 上司が急に厳しくなった→「責任を果たせるか不安が強まった」
  • 親が小言を繰り返すようになった→「子どもの将来の心配が強まった」
  • パートナーが細かく指摘する→「関係を大切にしたいことの裏返し」

こう捉えるだけで自分が「攻撃されている」という見方から、相手は自身を「守ろうとしている」に視点が変わります。
その瞬間、こちらの心に冷静さと余裕が生まれます。

その冷静さがあると、自分の落ち度に対する指摘の強さが適正かどうかも見極められるようになります。

リフレーミング
出来事や相手の言動を「別の枠組み」捉え直すことで、感情的反応を変える技法です。

相手の攻撃的な言動を「防御や不安の表れ」再解釈する事を意味します。

Beck, A. T. (1976).
Cognitive Therapy and the Emotional Disorders. New York: International Universities Press.

非暴力コミュニケーション
相手の攻撃の奥にある「満たされないニーズや感情」に気づき、それを共感的に受け止めることで関係性を変える方法です。

Rosenberg, M. B. (1999).
Nonviolent Communication: A Language of Compassion. PuddleDancer Press.

⑤実際に使われている不意に攻撃されたときの賢い関わり方 エビデンスレベル3

1. 背景を探る質問

「どうしてそれが気になるの?」のような質問で、相手の言葉の裏にあるニーズや不安を探る方法です。

攻撃は多くの場合「満たされないニーズ」の表出であり、質問によってそれが明らかになると攻撃性が低下する事がわかっています。

Nonviolent Communication (Rosenberg, 1999)
Burleson, B. R. (2003).
Emotional support skills. Communication Monographs, 70(1), 49–86.

2. 攻撃に使われた欠点を部分的に認め、共感する

私も使うように心がけている方法です。

「確かに気になる点ですね。私も課題に感じています」などと肯定の言葉を示し、まずは認めてから補足するやり方です。

主張が認められる事で自己防衛モードが和らぐと、建設的な対話が可能になるとしています。

Self-Affirmation Theory (Steele, 1988)
Sherman, D. K., & Cohen, G. L. (2006).
The psychology of self-defense: Self-affirmation theory.
Advances in Experimental Social Psychology, 38, 183–242.

3. 未来どうするかの話ができる

指摘を受け入れたうえで「今後はこう改善していきたい」と共有する行為。

つまり、一度認めたうえでそれに対し、どうしていくかの道筋を示すことで、課題に対しての誠実性を伝えて心配を取り除く方法です。

認知行動療法に基づく問題解決療法では、批判から未来志向に切り替えることがストレス軽減に有効とされる。

Nezu, A. M. (1986).
Efficacy of a problem-solving therapy for depression. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 54(2), 196–202.

4. 相手の譲れない感情を言語化

これを実践するにはまず、リフレーミングで相手の考え方に気付きつつ、共感できる事が必須です。
それができる事で「つまり〇〇が大事だから心配してくれてるんだね」と感情を代弁できる方法です。

感情を言語化すると脳の扁桃体活動が減少し、怒りが収まりやすい事がわかっています。

Emotion Labeling (Lieberman et al., 2007)
Lieberman, M. D., et al. (2007).
Putting feelings into words: affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli.
Psychological Science, 18(5), 421–428.

5. アクティブリスニング

相手の話を遮らずに要約や繰り返しを行い、理解を確認する行為のことです。

話を遮る人は嫌われますし、最近の発信では「話を遮って自分の話ばかりする人とは自分のためにも関わるな」なんていう話もありますよね。

その逆が効果的なんです。

心理療法家の来談者中心療法から発展した内容です。
実験的研究では、傾聴を受けた相手攻撃性が低下し、信頼関係が向上することが示されています。

Carl Rogers (1951)
Weger, H., et al. (2010). Active empathic listening scale. International Journal of Listening, 24(1), 34–46.
6. ディエスカレーション

対話だけが正解ではありません。

・声のトーンを下げる
・沈黙を活用
・物理的距離をとる

などで緊張を緩和できる事も分かっています。

危機介入や医療現場で体系化されており、攻撃的行動を鎮める標準手法です

Price, O., & Baker, J. (2012).
Key components of de-escalation techniques: A thematic synthesis. International Journal of Mental Health Nursing, 21(4), 310–319.

⑥攻撃側はただ配慮されるだけでいいのか エビデンスレベル5

「これ結局さ、相手を擁護する目線じゃね?やられてる身としちゃたまったもんじゃないんだけど」
「こんな迷惑な状況にさせられておいて背景も考えないといけないの?どんだけ譲歩すればいいんだ?」

そうとも限りません。

仏の顔も三度までという言葉もあるように、いくら譲れない信念があると言えど限度というものがあります。

無下にするのは違いますが、多少の理解を示しても一定を越える言動が目に余る場合は、キツくぶつかる事があったり、関係性を見直すような事があっても相手は文句を言えません。

ですが実際、多くの人はここを無意識に譲歩しすぎていて、攻撃側が若干有利な風潮があります。

受け手は多少の冷静さを持って相手を見つめる反面、攻撃側も苦しくても多少の冷静さが必要です。

有名な漫画『銀魂』にこんな言葉があります。

「一時のテンションに身を任せる奴は身を滅ぼすんだよ」

作中では、実際に一時の感情に身を任せ、職を失い、奥さんから逃げられてしまうキャラがいます。
これをただのフィクションと感じるか、身近な戒めに感じるかは皆さん次第です。

⑦まとめ

人は大切にしたい感情を守るために、無意識に相手の欠点に目を向けてしまうことがあります。
それは性格の悪さではなく、愛情や責任感の裏返しだった。なんてこともあります。

まとめるとこんな流れでした。

攻撃側はどんな状態か

1.譲れない想いに触れられたことによる防衛反応
2.否定を恐れて主張を強めるためのあら捜しをする
3.超攻撃的になる
4.冷静になれず和解を進めない場合、どんどん揚げ足をとろうとする

この心理を知っていれば
「なぜこんなに責められるのか」
と混乱していた今までと比べ
「その人は何を守ろうとしているのか」
と一歩引いて考える余裕が持てるようになります。

この余裕によって、人間関係を壊さずに済む最善の一歩を思いつくことだってあります。

ただし、今回の話をいくら理解できたとしても、コミュニケーションは必ずどこかで発生するでしょう。
そこで相手の心理をわかっていたとしても、皆さん自身がどれだけ相手に共感できるかが見せどころです。
共感できなければ負の感情に触発されて感情的になってしまい、トラブルは避けられません。

とはいえ、そこまで冷静になって相手のことを知ろうとしていると必然と態度に出ます。
その態度が相手に伝われば、相手が通常の人であれば冷静さを取り戻し、至らなさを感じ取って和解に進んでくれるものです。

今回はここまでになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

『自己肯定理論の心理学』スティール, C. M.

『防衛機制論』フロイト, S.

『認知療法と情動障害』ベック, A. T.

『非暴力コミュニケーション』ローゼンバーグ, M. B.

『感情と言語化』リーバーマン, M. D.

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