嫌な人と思っていたら良い人に見えたり、やっぱり嫌だと思ったり。このループで苦労していませんか?後編

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    この記事は『前編・後編』の二部構成です。テーマに沿った情報を二回に分けてお届けするものになります。
この記事のエビデンスレベルはです
この数字はAI(ChatGPT)による情報源の分析結果と著者の評価を基に設定しています。元となる参考文献は記事内に掲載しています。(ショートブログ除く)
「嫌な人だと思ってたら良い人だった」
「と思っていたのにやっぱりこの人嫌だな・・」

こんな感情をループして疲れ切ってしまわないために、そもそもそんな相手を極力避ける方法をお伝えし、加えて、どんな人がこのループに陥りやすいのかを解説します。

ループから早めに抜け出す方法 エビデンスレベル2

「自分が疲れるだけかも」という自覚をする

言うのは簡単ですが、実際そのシチュエーションの際に「これまともに関わっても振り回されて自分が疲れるだけだな」と意識する事が出来ても、行動まで変えれる人はなかなかいません。
だからこそ、どうしても善悪で物事を見てしまい、真正面から心が反応するため、その結果疲れてしまうんです。

もしあなたが今、不信感を抱いている相手がいて、良い面も見て迷っているのでしたらこのように思ってください。

「あの人への印象をコロコロ変える事になるとしたら、疲れるのかそうでないのか。今は振り回されてもいい状態なのか」

そのお相手が良い人だろうと悪い人だろうと関係ありません。

お相手への印象を変える事が疲れる事なのかどうか?を想像するんです。
それをする価値があるかどうか、あなたが決めていいんです。

その人のために疲れる事に何か意味があるでしょうか。無ければ次の項目へお進みください。

感情を整頓する

これは実際のワークになります。
すぐにやりたい人は取り組んでみてください。

まず、メモを用意してください。スマホでも紙でもなんでもいいです。

自分の感情に従って

その人の何が嫌なのかどんな時に嫌だと思うのか、良い部分が見つかったらなぜ良いと思うのか

を、しっかり言葉にして表してください。

紙に書き出すことで状況を客観視できます
メモが完成すると、自ずと自分が相手から何を見せられているのかが見えてきます。

例を記します。

  • 性別で態度を変えている
  • 相手の年齢で態度を変えている
  • 相手の立場によって態度がころころ変わっている
  • プライベートの八つ当たりをしてくる

  • 差別的発言をすると許せない
  • 人を煽る言い方が許せない
  • 気に入らないと無視をするのは見ていても不快

  • 機嫌がいいと飲み物をおごってくれる
  • 自慢込みで知ってることを教えてくれる
  • 挨拶したら表情が良かった

さて、あなたにとって許容できる範囲の人物ですか?
仕事だから立場が下だから、という事情があり、関わる事になっても仕方ない。で済ませられる性格の相手ですか?

矢沙玖
矢沙玖

前編で軽く出しましたが、映画版ジャイアン現象が起きてたりしませんか?

例えば、お礼を顔を見ながらジェスチャー付きで笑顔で言われたぐらいで「良い人なのでは?」思い直そうとしてないでしょうか。冷静に考えれば、それができる人は世間でも多く、良い人だと印象を決定できるほど大それたことではない事がわかるはずです。

あなた自身がその相手に騙されていないかを知るためには、感情を言語化して可視化する事が有効です。

人間関係におけるメタ認知の向上

「映画版ジャイアン現象」(相手のちょっとした良い行動に騙される現象)についても、書き出して客観視することが有効です。

これにより、許容範囲の判断を冷静に行えます。
これはメタ認知(自分の認知を俯瞰する能力)を高める手法であり、認知心理学の研究でも重要視されています。

Flavell, J. H. (1979).
“Metacognition and cognitive monitoring: A new area of cognitive–developmental inquiry.” American Psychologist.

感情のラベリング

感情を言葉で表現すること(ラベリング)は、感情の強度を和らげ、冷静な判断を促す効果があります。

ロサンゼルス大学の心理学者達の研究
感情を言語化すると、扁桃体(感情を司る脳の部位)の活動が抑制され、前頭前野(論理的思考を司る部位)が活性化することが分かっています。
これにより、感情に流されるのを防ぎ、より合理的な意思決定ができるようになります。

Lieberman, M. D., et al. (2007).
“Putting Feelings Into Words: Affect Labeling Disrupts Amygdala Activity in Response to Affective Stimuli.” Psychological Science.

価値観を明確にする

価値観と言われると難しい気がしますよね。

まず前提として、ループする大きな原因は相手の言動に対して自分がどう反応するのかが自分で把握できていないからです。

つまりこういうことです。

「この人は〇〇な言動を取る。ではなぜ自分がそれを不快に思うのか?」

と自分に問いただしても答えがでてこない状態なんです。

しかし、価値観が把握できていれば、なぜ不快に思うのか?の答えが出てくるんです。

ではどうやって価値観を把握するのか?

このように自分に尋ねてください

「自分がそもそも、その事柄に対して期待しているのはどんな行動だっけ?」

その答えがあなたの価値観です。価値観の派生のもとで考え方が決まります。

「〇〇な状況なら△△してくれるだろう」

というのは価値観が元となっている場合が多いんです。

「挨拶をしたら返してくれるだろう」「道を教えたら目を見てお礼を言ってくれるだろう」

これらも価値観からくる考え方です。

してもらったらお返しする、感謝する。するとお互いが気持ちよい。だから気持ちの良い言動をするものだ。というのが隠れてたりします。

この挨拶の例の場合「挨拶はお互いが気持ちよく行うもの」が考え方であり、その根本には「交流」「平等」という事に一定の価値観を抱いているのかもしれません。

このような価値観が把握できている方は次の項目へお進みください

関わり方を決める、距離を取る

これも言われるのは簡単ですし、私としても書くのは簡単です。

ですが、ここまで読んでいただいたことで

自分がその人を認識する事が疲れる
自分はその人からこれらの感情を抱かされている
自分の価値観はこうだ

という所までは、少しでもわかってきたのではないでしょうか。
ここまでわかれば
今後自分がその人とどう関わるのが自分にとって最適なのかを決める事ができます。
あなたの荷を軽くするためにも是非きめてください。

その人との関わり方を決めてないから、相手のペースに巻き込まれるんです。
逆に、価値観が明確になっていれば映画版ジャイアンの法則には騙されないようにもなります。

矢沙玖
矢沙玖

別にジャイアンが嫌いなわけではありませんが、相手の悪い面があなたにとって許容できるのかストレスなしにスルー出来るのかを事前に決めておくことが重要ですよ。

ジャイアンなら物語として楽しめますが、現実は違いますからね。ジャイアンの風上にも置けないような人、あなたの近くにもいませんか?

この積み重ねをしっかり積んでいけば次第にNOが言えますし、表面的な付き合い方ができるようになりますし、必要な付き合いでも最低限のストレスで済ませられるようになります。

そして、毒親など関係の深い相手に対してもこのテクニックは有効です。

「親だから悪く思っちゃダメだよ」「親だって人間なんだからあなたのために悩んでるんだよ」「事実あなたも手がかかる子なんだよ」

こんな声より、あなたのメンタルが大事です。親子お互い様ならあなたのメンタルを削ってもいいのでしょうか?

あなたが尊敬できない人であれば、大事な感情を使ってまで対面する必要はないんです。

このテクニックを使うことは、甘えでも弱さでも脆さでもなく、生存戦略であり、自分が幸せに生きるための賢い方法となる合理的な手段です。

さて、それでもそもそもそんな人とかかわりを持ちたくないですよね。

そもそも避ける方法 エビデンスレベル4

自己理解を深める

先ほどの価値観と類似します。

自分の価値観と違う行動を相手が取ったら苛立ちという形で不快感が現れるようだ

つまり、自分の価値観がこれで、これに対して誰が、どのようにすると、結果自分はどんな形で不快になるのか。

これをしっかり説明できる状態は、対人において自己理解ができている。と言えます。
この自己理解ができているのが非常に重要で、これができていると

  • 自分に合わない人を見抜く力が伸びる
  • 今後ストレスになる可能性の察知
  • 自分にどんな未来が来るかの予測

これらの能力が上昇します。

そうすると、初対面の壁こそ作りかねませんが、あなたがしっかりと相手と自分の相性を見極められるようになります。

「なんだか上から目線っぽくて嫌」「私みたいな人がどの面でそんなことを・・・」

その結果自己否定に陥っていては意味がありません。その思考を繰り返した結果幸せな人間選びができているでしょうか。
あなたが選別する事は何も悪くありません。あなたにも選ぶ権利があります。

他者にその意図が伝わらないようにすればいいだけです。
伝わってしまったとしても、わかる人には理解されますので安心してください。

私の例を挙げます

矢沙玖
矢沙玖

車の運転中、細い道で対向車が来ました。

こちらに余裕がある場合は、端に避けたり、バックをして相手が通れるようにします。

もちろん、ジェスチャーなどでお礼を伝えてほしいと無意識に感じ期待します。

なぜなら、バックをする慎重さ、端によせてぶつけず相手が通れる幅の確保をする手間を取っているから。
なにより、タイミングが偶然重なってしまっただけでどちらも悪くないから。

これに対し、素通りするような相手とか、ましてや

「邪魔だなこいつ」「対応おせーよ」

と睨んでくるような相手には攻撃性を秘めてしまいます。当たり前ですね

この例には、礼儀感謝モラルという価値観が潜んでいると感じています。


ここまで自己理解を深めておくと「自分が苛立つような相手と同じような特徴をこの人は秘めていないか?」と、警戒できて、考え方の違いに敏感になるんです。

表現はあまりよくないですが、フィルターにかけやすくなるんです。

かといって、こういう人は大体フィルターにかかるよねと例えば年齢や見た目で一括りにしてしまうとすると、それは前編でお伝えした過度の一般化となってしまうので注意が必要です。

自己抑圧的感情処理(どんな人が陥りやすいのか) エビデンスレベル3

わかっていても、つい相手に対して罪悪感を抱いたり、他者からの一般的な見られ方などを気にしてしまい、結局いつまでも振り回され続けてしまう事はないでしょうか。

そこで、自己抑圧的勘定処理と呼ばれる心理用語があります。

自己抑圧的感情処理とは

自己批判的な状態を抱えている人の場合、他者に対するネガティブな感情を持つことを自分の問題と捉え、無意識にその感情を抑え込もうとする傾向があります。

このような人は、他者を悪く思わないように努めたり、自分が相手を誤解しているのではないかと考え直すことが多くなります。

つまり、他人の悪い部分を見たときにそれをすぐに「悪い!」と言ってしまうのではなく「自分がもっと広い心で接しなければいけない」「その人にも良い部分があるはずだ」と考え、あなたが抱いた否定的感情を、無理に抑えようとする現象です。

この反応、一見すると他者に対する寛容さや思いやりに見えませんか?
しかし、長期的には心理的な負荷がかかりやすい事がわかっているんです。
その結果人間不信になる事も十分にあり得ます。

次に、どんな方がこの自己抑圧的感情処理を起こしてしまいやすいのか解説します。

自己批判傾向が強い

些細なミスでも自分を責めやすい。
「自分が悪いのではないか」と考えやすい。

過度に他者を優先する(過剰適応)

他人の期待に応えようとしすぎる。。
「嫌われたくない」「迷惑をかけたくない」という気持ちが強い

罪悪感を感じやすい

他者に否定的な感情を抱くと、すぐに「こんなことを思ってはいけない」と自分を責める。
自分が相手を悪く見ていることに罪悪感を持つ。

共感力が高すぎる

相手の立場や気持ちを考えすぎてしまう。
「相手にも事情があるかもしれない」と思い、自分の感情を後回しにする。

対立を避ける傾向が強い(回避型の対人関係)

人と衝突することを極端に避ける。
自分の意見を伝えたり、嫌なことを「嫌だ」と言うのが苦手。

権威や社会規範に従順

「こうあるべき」という固定観念に縛られやすい。
目上の人や社会のルールに従おうとするあまり、自分の感情を抑え込む。

幼少期に厳しい環境で育った

「親の顔色をうかがう」「否定されることが多かった」などの経験を持つ。
自分の感情よりも、周囲の反応を優先する習慣が身についている。

ストレス耐性が低い(燃え尽きやすい)

我慢を重ねすぎて、ある日突然心が折れてしまう。
過度なストレスにより、自己肯定感がどんどん低下する。

理想が高く、完璧主義的傾向がある

「もっと良い対応があるはず」「寛容な人間でいなければならない」と考えがち。
自分の怒りや不満を「未熟だから」と片付けてしまう。

人間関係で過去にトラウマがある

いじめ、モラハラ、パワハラなどの経験により、他者との関係で警戒心が強い。
自分の感情を出すことに恐怖を感じる。

このように、そもそも価値観どうのより、相手がどうのより、自分が自分を信じられない」自分の感覚がおかしいんだ」自分なんかが」「人が怖い」と思い込んでやまない人が挙げられます。
苦しい事この上ないでしょう。

自己抑圧的感情処理をしやすい人の特徴として
自己批判傾向罪悪感の強さ過剰な共感性対立回避などが挙げられ、特に幼少期の厳しい環境が影響することがボウルビィの愛着理論によって示されています。

Blatt & Zuroff 1992
Tangney 1995
Batson et al. 1983
Lange & Jakubowski 1976
Bowlby 1969
矢沙玖
矢沙玖

私も過去ふさぎこんでオンラインゲームをしていた時期、対人で不満があるとボーーーっとしてしまい、ゲームから離れ、考え込んでしまい、結論全て自分が悪いあの人じゃなくて自分がおかしい、と自己批判を繰り返していました。


不満の理由はこれです。

「困っているから手伝ってほしい」と言われたので、今やってる事を中断して手伝ったら「あ、おけ、もういいわ」とだけ言われ、他の誘いにぴゅーーーっと去っていきました。


当時はめちゃくちゃモヤモヤしましたよ。

今思えば、ゲームなら特によくありますし、些細でくだらないと思うかもしれませんが、当時の私にとっては「え?何この人」という感覚がぬぐえませんでした。

周りから見たり未来の自分から見るとめちゃめちゃ些細な事だったりするんです。
だから周りに相談しても端的な返答しか来ないんです。

でも本人はめちゃくちゃモヤモヤして、ものすごいストレスになることもあるんです。
だからこそ、あなた自身の感覚を大事にして、あらかじめ価値観と自己理解をして自分を守る手段を持っていてほしいんです。

私が挙げたような人とはそもそも関わらないように自分でルールを作ればいいんです。

まとめ

いかがでしたか?

誰もが経験したことがあると思いますし、人によってどれだけ深刻になるかという度合いもかなり変わってくるはずです。
価値観や自己理解の大切さは何度かお伝えしている通り、本当に重要なので少しずつ取り組んでみてください。

「自己抑圧→不快感の再確認」というループを起こす性格を放置しておくと、疲弊する原因になり、対人不安、対人恐怖症、人間不信、自己否定に陥ってしまいます。

それでは今回はここまでになります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

『「気にしすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「感情の整理」ノート』(水島広子)

『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健)

『書く習慣』(古賀史健)

『「しつこい怒り」が消えてなくなる本』(石原加受子)

『メタ認知トレーニングで身につく考え方のクセの修正法』(坂爪一幸)

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