こんにちは、矢沙玖です。
今回は、私がこれまでに何度も経験してきた「人への印象を何度も見直そうとするしんどさ」を科学的に見ていく記事になります。
「え?どういう事?」
こんな現象です
「うわ・・この人感じ悪いなぁ・・・なんでこんな態度が取れるんだ?」
と不快感を初対面で抱いたのに
「あ、ここでこういうことできる人なんだ。こういう時これが言える人なんだ。良い人じゃん」
と思い直して、少しコミュニケーションを取ってみると・・・
「??・・・え?なんでそんな言い方する?え?そういうことする?え???むかつく・・」
と、振り回された経験はありませんか?
私はめちゃめちゃあります。
特に私の場合は、社会復帰をするためにパートをはじめたときや、社会復帰を果たした先の職場だったり、とにかくお仕事関係でこういった思いをする事が多かったです。
仕事関係に限らず、SNS、オンラインゲームなど、あらゆる場所で起こりうる現象ですよね。
さてこのように、最初に嫌だなと思った人から、後に少し良い面が見え、また嫌な部分に気付くという、感情の揺れは誰でも経験したことがあるでしょう。
これはただの気の迷いではなく、実際に私たちの心と脳が引き起こす自然な現象です。
なんでこんな面倒な感情が起こるか知りたいと思いませんか?
可能なら、こんな疲れるループは極力避けたいと思いませんか?
そんな方法はあり・・・
・・・
ました!
きちんと順番に科学的に解説します。が、ループを極力避ける方法はすみませんが後編でのお届けになります!
なぜ最初に「嫌だ」と感じるのか?
初頭効果
直感という言葉はご存知ですよね。それに加え、初頭効果という心理が働いていることがわかりました。
まずは直感ってどれだけ信用していいのか?をお伝えします。
心理学的には、直感は経験に基づいており、特に相手に対する最初の印象が後々正しかったと感じることは多いです。
経験や観察が豊富なほど、直感の精度が高まると言われています。
次に、直感と初頭効果を組み合わせた解説をします。
人は相手に対して最初に抱いた印象を、直感的に重要視します。
これを初頭効果と言い、最初に嫌な印象を持った場合、その感覚は強く心に残ります。
直感は、だいたい過去の経験や知識に基づいているので、無意識に「この人は自分とは合わないかもしれない」と感じるのです。
最初に抱いた嫌な印象が強く残るため、その後に良い面が見えても、最終的にまた嫌な部分が目立つ可能性があることから
「なんかこの人嫌だなぁ・・・」と思ったら「やっぱり自分の勘は合ってたか」という現象は、心理学的に一定の根拠があるんです。
ご経験ありませんか?
そもそもなぜ「嫌」なのか
嫌な人に対して、このように思ったことはありませんか?私はあります。
「この人と自分はタイプが違う」
私の場合は、タイプというより属性という言葉を使っています。
こうして割り切ろうとした矢先、誰かから「視野が狭い」だとか「極端すぎる、あの人にもいい部分はある」と言われたり、それらを踏まえて「自分が考えすぎかもしれない・・・」と悩んでいませんか?
ここであなたを救うのが心理学で、類似性の法則というものがわかっています。
類似性の法則
人間関係では「似たもの同士は仲良くなる」という法則があります。
価値観や趣味、ライフスタイルが似ている人とは自然に仲良くなりやすい一方、違いが大きいと不信感や不快感を抱くことが多くなります。
あなたが最初に抱く「この人と自分はタイプが違う」という違和感は正しく、まさに属性の違いからきていることがわかります。
このような理論があるからこそ
人は自分と価値観や性格、趣味が似ている相手と親しくなりやすく、長続きしやすいという観点が正しく、逆の場合だと、違和感や不快感を感じやすくなるのも自然だという証明ができるんです。
なので「この人嫌だな」という感覚は、属性の違いによるものである可能性が十分にあり、属性の違いからくる相手への最初の違和感は正しいという説は心理学的に一部支持される考え方なんです。
だからこそ「あなたが考えすぎ」などという意見は間違いで、あなたが卑屈になる必要はありません。
さらに、あなたと、その相手と、周りの人もそれぞれ微妙に属性が違うので、相手や周りが何と言おうとあなたにとってはあなたの違和感が一番正しかったりもします。
それが他人にとっては正しくない場合があるというだけです。
結果的にそれを信じて一時的な孤立はするかもしれませんが、その結果自分が気楽になったり、次の関係が良い物ならそういうことなのかなと思います。
良い面が見えても、結局「嫌だ」と感じる理由
あなたの努力がとか、器が、なんていうある種の根性論は一切ありません。
私も当初は、自分がへたれている、あまえている、忍耐力がない、適応力がない、と思っていましたが、またしても心理学は証明してくれています。
認知的不協和
もしその相手の良い面が見れた時「この人は嫌な人」という最初の印象と「実は良い面がある」という矛盾した感情でモヤモヤしますよね。
このモヤモヤこそが不快感の正体で、結局は最初の直感に戻ってしまうことが多く、ちょっと嫌な面を見たら嫌な人という見方に戻るわけですね。
ただ、あなたに問題があるのではなく、認知的不協和という心理現象がそうさせているんです。
単純に本質をまだ見せられていない
最初はもちろん距離を取っているため、相手の表面的な良い面が見えることもあります。
これが、距離が近づくにつれて本質的な嫌な部分が見えてくることもありますよね。
これも、あなたの感じた「良い人に見えたが、やっぱり嫌だ」というループの原因にもなりますし「騙されていた」という感情の正体もこれです。
逆に、悪い人に見えている状態から、本質である良い面を見続ける事で、あなたの属性とは異なるというハードルをもし超えたら印象がしっかり変わるかもしれませんね。
良い人なの?悪い人なの?のループが疲れる理由
一言で表すと、他人に振り回されている感じがしませんか?
嫌だなぁ・・と思って対面したら良い姿を見たり、ポジティブな言葉をかけられて過剰にうれしくなったり。
かと思った翌日には嫌味を言われてズドンと傷ついたり。
映画版ジャイアンの法則と言われてピンとくるでしょうか。
特定の状況ではめちゃめちゃ心強いですし優しいですが、普段はのび太くんを殴ったり道具を奪ったりしてますよね。
見る側の私たちにとっては何とも思いませんが、のび太くんからしたらたまったもんじゃないかもしれません。
実際のあなたの生活に置き換えるとどうでしょうか。たまったもんじゃないですよね?
実はこれこそが、対人における疲労感の原因でもあり、過度な緊張感の元にもなっています。
認知のゆがみ
認知の歪みとは、特定の状況や相手に対して、過度にネガティブまたはポジティブに解釈する現象です。
特に対人関係においては、相手の行動や言動を悪い方向に捉えがちですが、後で冷静に振り返ると「あれ、思い過ごしかな?」と思うことがありますよね。
認知行動療法では、こうした思考の偏りが不安やストレスを引き起こすとされているんです。
例えば「全か無かの思考」や「過度の一般化」といった認知の歪みが大きなストレスの原因になります。
過度の一般化についても解説します。
ちょっとの失敗や、少しうまくいかない事が続いたりすると、その経験を全ての物事にあてはめてしまう考え方の事を指します。
ちょっと悪い例ですが、一人の男性の嫌な部分を見ると男性全体を嫌な風に見たり、金髪がどうとか、太っているとどうとか、根拠のないレッテルのようなものです。
つまり、根拠のないレッテルをあてられて嫌な思いをする人がいるのはもちろんですが、そのレッテルを貼ってる側も実はストレスを抱えているということなんですね。私もありますよ
認知的不協和
あれ?もう1回出てきましたね。実は疲れにも影響してくるんです。
簡単に再度解説します。
認知的不協和とは、自分の信念や考え方と実際の経験が食い違うことで感じる心理的不快感のこと。
嫌だと思っていた人が突然良い面を見せたりすると、自分の中で「この人は嫌い」という感情と「実際は良い人かもしれない」という事実が矛盾し、不協和を感じます。
この不快感を減らすために、考え方を無理やり変えることがあります。
心理学者レオン・フェスティンガーの理論でも、人は矛盾を減らすために行動や思考を調整しようとする事を示唆しています。無理やり変えるという部分でストレスがかかっていそうですね。
自己批判と自責感
人は、自分の判断に自信がないと「自分が悪かったかも」と感じる事が多いです。そうじゃない人もいます
特に自分の思い込みや初期の判断に対して、後から「考えすぎだったかもしれない」と自責してしまう場合もあります。
さらには、自己肯定感が低い人ほど、このような過剰な自己批判に陥りやすいことがわかっています。
これが長期化すると、ストレスやうつ状態にもつながる可能性がある事までわかっています。
心当たりございませんでしょうか。
まとめ
さて、対人で抱える善か悪かで振り回される疲れについて解説しました。
真面目なあなただからこそ、しっかりとした科学的根拠があるにも関わらず
自己批判と自責を繰り返し「あの人のいい部分も見つけなきゃ」という試行錯誤と「あれ?良い人じゃん」という側面を繰り返した結果「受け入れられない自分が悪い」と自己否定に陥ってる可能性は十分にあります。
ですが、決してあなたは悪くありません。
あなたに合わないという当たり前の現象が起きているだけなんです。
それを無理に埋めようとしたら当然疲れ切ってしまいます。
ほとんどの場合
「あの人は嫌な人」という直感がただの思い込みで「良い面もしっかりある普通の良い人」というのが事実なんだ。
と思っているかもしれません。
ですがあなたにとっては「あの人は嫌な人」という直感こそが事実で「あの人にも良い面がある普通の人」という解釈こそが思い込みである可能性が高いんです。
その根拠は、直感と初頭効果と類似性の法則で説明がつきます。
しかし、かといってこれらを理解したところで、明日から、そして今後の対策になるわけではなく、なぜ苦しいのかを説明できるだけにすぎません。
次回の後編では、どうやったらこのループを抜け出せるのか。と、こういう人はこの悩みに深くハマりやすいという特徴をお伝えしてこのテーマをしめたいと思います。
それでは今回はここまでになります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献
『自己肯定感を高める心理学』石井光太
『認知行動療法の基礎』堀田善衛
『心理学的アプローチによる人間関係の改善』中村秀一
『感情の心理学』ポール・エクマン