寝るだけで不調は治らない?不調時に大事にしたい『心』の扱い方

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この数字はAI(ChatGPT)による情報源の分析結果と著者の評価を基に設定しています。元となる参考文献は記事内に掲載しています。(ショートブログ除く)

体の不調で休んでいる皆さん。
素直にずっと休んでいるでしょうか。

「ずっと寝ててもなんか落ち込んでくる」
「寝たけど気持ち自体はなんか微妙」

と、思ったりする事もありますよね?
その感情を基に

「ちょっとぐらいいいか!」
「十分寝たし・・!」

と解釈して娯楽に触れるパターンもあるでしょう。

しかしその行動・・・・

実は

OKな事もあります!

刺激不足は回復を遅らせる エビデンスレベル3

あらかじめ誤解のないよう添えておきますが、心を優先しすぎて、調子が悪いという体の状態を超えるほど娯楽でエネルギーを消費するのはもちろんNGです。
あくまでも娯楽に触れるのは、体にしっかり療養を与えた範囲で刺激不足を解消するために行ってください。

さて、脳はそもそも療養中だとしても適度な刺激を必要とします。
そんな刺激がない状態を続けすぎると「何もしていない自分」という事実を受け入れられないことがあり無価値な感覚が形成されてしまう事もあります。

これが時に、自分を責める材料になってしまう事もあります。

この無価値な感覚というのは、体調不良関係なく1日の休みを何の目的もなくダラダラ過ごしてしまった場合にも抱くことがあります。

そういった感情があっては、回復力を鈍らせる原因になってしまいます。

それぞれ科学的根拠を提示し解説します。

刺激不足と回復力の関係

感情的ストレスと免疫機能の関係
心理的ストレスは免疫系に影響を与えることが複数の研究で明らかになっています。
退屈や孤独感などの「低刺激によるストレス」も含まれ、それが長期化するとNK細胞(ナチュラルキラー細胞)(もしかしたら『はたらく細胞』で聞いたことあるかもしれませんね)T細胞活性低下が見られ、感染症や炎症性疾患の回復が遅くなる可能性があると報告されています。

ストレスが免疫機能に与える影響について300以上の研究をレビューし「長期的ストレス(退屈や孤独を含む)」回復遅延相関しているという報告もあります。

Segerstrom & Miller (2004) のメタアナリシス(Psychological Bulletin)

環境刺激が乏しい状態に置かれると、脳の可塑性が低下し、思考力や意欲が下がることがラットの実験や一部人間研究でも確認されています。
また、適度な刺激(自然、会話、音楽など)を与えることで「神経成長因子(BDNF)」が増加し、ストレス緩和や再生が促されることも報告されました。

Kempermann et al. (1997), van Praag et al. (2000)
マウスの神経可塑性研究

体調不良でも娯楽をしなければならないというわけではありません。

娯楽に触れるという動作にはドーパミンが関与し、ドーパミンによってアドレナリンが分泌され、それは体を疲れさせる行為に当たります。

それに耐えられる体の状況でないなら抑えるべきです。

したがって、体調不良時に無理をしてはいけないのは当然です。

だからといって、完全に何もしないことがかえってストレスを増加させ、回復を遅延させる可能性があるということです。

無力感は危険

自己効力感の低下と自己否定感
「何もできない自分」に対する否定的感情は、自己効力感が低下したときに強く現れます。
自己効力理論では「達成感・行動の選択・結果の確認」効力感を保つ鍵ですが、体調不良で「動けない状態」が続くと、これらが満たされず自尊心や自己評価が下がりやすくなります。

Bandura (1997): Self-Efficacy: The Exercise of Control

心理的に弱っているときは「何もできない自分=価値がない」捉えやすくなります。
特に休養中など能動的な行動ができない状態では、自動思考として否定的な自己評価が浮かびやすくなります。

Beckらの認知行動モデル、Automatic Thoughts Questionnaire(ATQ)に基づく研究多数

現代社会では生産性・成果が重視されがちで、その価値観を無意識に取り入れていると、何もしていない=価値がないと感じやすくなります。
これは「内在化された自己評価」と呼ばれ、うつ傾向との相関も確認されています。

Deci & Ryan(自己決定理論)
Skitka et al.(価値内在化と心理的健康)

この現象が心理的ストレスとなり、心理的ストレスは回復を遅らせる事がある理論へとつながります。

これ、お気づきの方もいらっしゃるかもしれません。
なにも体調不良の時に限った話ではありません。

心の傷に苦しみ、行動する事が億劫になっている人にも起こる現象です。

そもそも「何もしていない自分が無価値に思える」心理は、私達が刷り込まれている考え方のせいだったり、心がボロボロだからこそ起きてしまうんです。

ですがどうでしょう。
骨が折れたら安静にするのが普通ですよね?
骨が折れそうなぐらい脆くなってるなら安静にしますよね?
激しい運動控えますよね?
運動内容を変更しますよね?
その選択を取っている人を責めなどできませんよね?

心も同じです。

なのにどうして心に対しては厳しく見るのでしょうか。

経験があるからこそ言えますが、心が壊れてしまったら骨折以上に大変です。

回復のためには「休んでいる自分にも価値がある」「これから価値をどんどんつけていくために休んでいる」と肯定してあげてください。

誰にも迷惑をかけずに休んでいるのならいいじゃないですか。
その配慮が出来ている時点で無価値ではありません。

「違う、迷惑かけてる」

ほんとにそうでしょうか。誰かに確認しましたか?客観的に公平的に判断しましたか?
迷惑をかけているとしたら、それ一生のつもりはないですよね?

「そんなつもりはないけど結果的に一生になってしまってる」

これまで何度か戦ってみた経験があるからこそ存在する葛藤です。
それこそ無価値ではありません。戦略の方向性がまだ違うだけです。

まとめ

心理的ストレスは回復を遅らせます。

心はこれらの状況を避けるため、ただ休むことを拒み、何かしらの成果を得ようと娯楽に手が伸びる事があり、それが結果的には良いこともあるという話でした。

刺激不足や何もせず寝ている自分への自己否定も心理的ストレスになりえます。

体調不良なのに遊びすぎるのはもちろんマイナスですが、かといって寝てるだけもマイナスということもあります。

どんなときもバランスが必要だという事が伝わったでしょうか。

今回はここまでになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』ケリー・マクゴニガル

『自己効力感を育てる』アルバート・バンデューラ

『なぜ僕らは働くのか』池上彰

『マインドセット:「やればできる!」の研究』キャロル・S・ドゥエック

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