「ほんとに治ってる?」心が治ってないのに頑張る決意。すぐ辞めてください。前編

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この記事のエビデンスレベルはです
この数字はAI(ChatGPT)による情報源の分析結果と著者の評価を基に設定しており、元となる参考文献は記事内に掲載しています。

年が明け「今年こそは!」と、去年できなかった事を達成しようとしたり、自分を変えようと決心していませんか?

「自分の事は嫌いで駄目なやつだと思っている。それを変えたい」

こんな事を意気込んでいませんか?

自己啓発に触れたり、名言集に触れたり、喝を入れてくれるようなメディアや娯楽に正面から挑もうとしていませんか?

新年早々など気持ちが上がって燃えている時こそ気を付けていただきたいんです。

まだ間に合います。今すぐ思い直してください。
あなたの決心を蔑ろにはしませんが、その方法は危険かもしれません。

自分へパワハラしていませんか?しようとしてませんか? エビデンスレベル2

娯楽の範囲なら構いませんが、無理な学習言い聞かせ真に受けようとしたり、ましてや実行なんてやめてください。
それらのツールや刺激は全て、外からの主張だからです。

本当にそれが今の自分に合っているのか?が正しく判断できて初めて意味を成します。

自分を変えたいと思っていればいるほど、外からくる刺激は、あなたの中にスーッと入り込み、すんなり溶け込んでしまいます。いわゆる洗脳ウェルカム状態です。

心理学では、人が強い感情の状態やストレス下にあるとき、外部からの情報を無批判に受け入れられることが知られています。
これは認知心理学における『感情依存的認知』(emotional)依存性)として説明され、批判的思考を一時的に抑制する効果があると言われています。

Cialdini, RB (2001)。
『影響力:説得の心理学』 Harper Business

あなたは本当はまだ心を癒せていないのに、頭で考えて心に鞭を打って「何言ってるんだ!今こそ変わるんだ!やれるだろ!」と、自分にとってキツい自己啓発の動画や本を読んでも逆効果でパワハラ行為です。

自分の状態に合わない負荷をあえてかける行動は自分へのパワハラです。

パワハラに異議を唱える背景 

「パワハラパワハラってあのねぇ・・・」

こんな声は被害者の気持ちを一切知らない声なので無視してください。

「いやわかるよ?確かに辛いけど全部パワハラって言ってたら動けないし忍耐つかないよ?」

所詮まだまだ主観です。

なぜパワハラという言葉が世に出回り法律でも厳しくなったのかという背景を知らないのならただの我慢の押し付けです。忍耐と我慢は違います。自分を守るためにもこんな言葉は無視してください。

パワハラが問題視された理由
一つの事柄を全ての人が耐えれるとは限らず、感受性も個人で異なり、場合によっては溜めこんでしまい、ストレスが蓄積され発散や休憩も上手にできない場合は結果的に精神病を患い、社会進出の妨げや最悪の事態を懸念すべきと時代が解釈し始めたからです。
世界で多くの研究がなされた結果、ハラスメント行動の問題を指摘するデータも出ています。

パワハラ防止が進んだ経緯
https://haken-no-mikata.com/blog/2394/

Harvey, SB, Joyce, S., Tan, L., Johnson, A., Nguyen, H., Modini, M., & Groth, M. (2014).
一般的な精神障害に対する職場介入: 系統的メタレビュー.心理医学, 44(4), 683–697.
Einarsen, S., Hoel, H., Zapf, D., & Cooper, CL (2020).
職場でのいじめと嫌がらせ:理論、研究、実践。CRC Press

Nielsen, MB, & Einarsen, S. (2018).

国際労働機関 (ILO)
仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶

慢性的なストレスは、うつ病、不安障害、そして身体の健康問題(例えば、高血圧や免疫機能の低下)を考えることができ、複数の研究で示されています。
例えば、Sapolsky(2004)の研究では、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に秘密になると、脳の構造の変化(海馬の縮小)や感情調整の低下につながる可能性が指摘されている。

Sapolsky, RM (2004).
「シマウマはなぜ潰瘍にならないのか: ストレス、ストレス関連疾患、および対処に関する最新ガイド

ニールセンとアイナーセン(2018)の研究は、職場でのいじめに対する反応が個人によって大きく異なることを示しています。
一部の人は比較的耐久性が高く、感受性が高い人々は同じ出来事でもより強いストレスを感じる可能性があります。
これが、ハラスメントの影響を軽視できない理由の一つです。

職場でのいじめについてわかっていること、わかっていないこと、知っておくべきだったこと、知っておくことができたこと: 文献の概要と今後の研究の課題。Aggression and Violent Behavior、42、71-83

職場でのいじめやハラスメントは、従業員のメンタルヘルスの低下だけでなく、生産性の低下、欠勤率の増加、早期退職など、企業全体に莫大な経済的コストを実現することが確認されています。

Harvey, SB, et al. (2014). 一般的な精神障害に対する職場介入:系統的メタレビュー.
心理医学, 44(4), 683-697.

よって一般人の根性論など、たまたま当てはまる場合があるだけでエビデンスレベル5です。「甘い」という声も無視でよく、人によるのが当然で本来このような強い言葉を外に漏らすべきではありません。
理解しあえる人同士でやればよく、考えが合わない人に押し付けるものではありません。
自分がその物事を耐えれるかを正確に判断し、他人の我慢基準を鵜呑みにしないでください。ここでいう他人とは、あなた以外のすべての人々です。

パワハラ軽視の言葉はそもそも容易に外に漏らすべきでなく、慎重になるのが相応しい。
その理由は、過去これまでに軽微な事から重大な事件までパワハラがきっかけで数多くの事例や相談件数が積みあがってしまったから。
それが世界的に問題視され、多くの研究とデータが出たからである。

自己啓発などの学習ツールがあなたに合わない場合 エビデンスレベル2

さて、学習ツールにしようとしている外からの主張が逆に自分に合わない事もあります。

「なんか辛い言葉だな・・このように考えないとダメかな?」
「なんだか自分には合わないけどこっちが悪いのかな?」
「過去の自分に刺さる内容でトラウマが蘇って気分悪いな・・」
「もしかしてあの時のあれは失敗で皆自分の事嫌いなんじゃ・・」

こうなるとどこかモヤモヤしたり、一部の主張に反発したくなったりと、あなたの思考を乱してしまいます。

それですめばいいのですが、後のタイミングでふとそれを思い出してモヤモヤするというループを起こすこともあるでしょう。
それが気になって寝つきの悪さに繋がれば本末転倒です。

こういう事があるのでメンタルが回復していないと無理な学習は逆効果なんです。
だからこそ、メンタルが治っていないのに外の刺激を集めることは大変危険です。
心がさらに壊れる前に、やめてください。

自己受容と心理の安全性(セルフ・コンパッションと心理的安全性)
学習や成長には、自分自身を受け入れる「自己受容力」と、自己否定をいとわない「心理的安全性」が必要です。
自己啓発の過剰摂取を自分自身が受け入れられない時に行うと、モチベーションが逆に低下する可能性があります。

Neff, KD (2003)
セルフ・コンパッション:自分自身に対する健全な態度の別の概念化

学習準備性
メンタルの状態が整っていない場合、学習は逆効果になる可能性があります。
心理学的には、心の安定が学習の準備状態を整えるための重要な条件です。
メンタルは外部からの情報に対する過敏な反応をとる事があるため、メンタルの状態が保たれていないと学習の効果を損ねることがあります。

Knowles, MS (1980).成人教育の現代実践: 教育学からアンドラゴジーへ

認知的負荷理論
学習や情報処理には限界があり、過剰な負荷がかかると学習効果が低下するという理論の事。
特に、精神的なストレスやトラウマが未回復の場合、認知的リソース心のケアに多く使われるため、情報処理の限界値はなおさら低下しています。

Sweller, J.
(1988).問題解決時の認知負荷: 学習への影響。認知科学。

今この私の記事さえも、無理して読んで学ぼうとしているのなら、あなたの心のためにも閉じた方がいいです。

心が壊れているのに無理をしようとしている例 エビデンスレベル3

実話を紹介します。

  • 破産したにも関わらず働く意欲がわかない、涙が出る
  • 身近な人が亡くなったのに、意識も行動も変えられずダメな自分のまま変われない
  • 学校をやめてしまったのに働く1歩が踏み出せず時間だけが経つ
  • 人に大事な報告をしなければいけないのに、話しかけられない、会いたくない、震えさえ起こる

まだまだ致命的とも思われる実話がありますが、何が言いたいか結論をお伝えします。

あなたのメンタルがまだまだすり減った状態であり、心が危険信号を出しているから何も出来ない。

これに尽きます。

また、メンタルがすり減っていると何かの行動1つさえも動く事が、物凄く億劫に感じるのです。

「こんな事も出来ない自分・・」と思う必要はありません。
「自分ってめんどくさがりなんだな」それ、勘違いです。

『メンタルが壊れたままだから、できれば何もしないで欲しい』心が悲鳴をあげているんです。

だから動けないんです。
決してめんどくさがりではありません。
間違えないでください。

人を亡くして生じた悲嘆(グリーフ)には、認知や行動が一時的に麻痺するような症状が起こる事があります。
「複雑性悲嘆障害」の一例です。

悲嘆に伴う心理的影響に関する複数の研究

人とどうしても関わるべき大事なタイミングでも動けない

 これは社会不安障害極度のストレス反応典型例です。
恐怖や回避行動が強いのは、心の安全を求めて自己防衛に入るからです。

社会不安障害における行動回避の考察に関する研究

経済的な問題や人生の大きな失敗を経験した後、自己効力感が低下します。
この状態では何をしても無駄だと感じやすく、燃え尽き症候群や抑うつ状態を起こしている可能性があります

うつ病状態における自己有効力感の低下に関する観察研究

まとめ

いかがでしたか?

よく考えずに自分を戒める行動自分へのパワハラ行為に等しく、パワハラは重大な問題へと発展する可能性を解説しました。

また、今までの自分が好きになれなかった理由に「行動できない自分」という背景があるかもしれませんが、行動しなかったことにも様々な理由が無意識に隠れている事が多いです。

自分自身への思いやりをしっかりもち、焦らず小さなステップで進めることがおすすめで、一気にやろうとしたり、劇的に変えようとすると失敗率を高め、心を壊す事だってあります。

自分への厳しさを手放し、自分を甘やかすではなく優しくするのはどうでしょうか。

さて、それでも焦る気持ちや、意気込む気持ちがすっきりしないのも十分にわかります。
そこで次回の後編では、心のケアに沿った頑張り方について解説していきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考文献

「影響力の武器」ロバート・B・チャルディーニ

「ストレスの科学」ロバート・M・サポルスキー

「働く人のメンタルヘルス対策」 井上義和

「職場のハラスメントを考える」藤井敏彦

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