疲れてるのに寝ない、風呂に入る気力がない。脳の仕組みです。自己否定しなくてOK

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この数字はAI(ChatGPT)による情報源の分析結果と著者の評価を基に設定しています。元となる参考文献は記事内に掲載しています。(ショートブログ除く)

学校で、家事で、仕事で、人と関わって、疲れ切ったのにすぐ寝ないでなぜかスマホを触る。
パソコンを立ち上げる。
テレビをつけて録画を流す。
ゲームを起動する。

「疲れて帰ってきたのに、ゲームやYouTubeはできる。
でも、風呂や睡眠はなぜか面倒くさくて、いつも後回し。」

そしてすぐに布団に倒れ込み、SNSをみたり、誰かと通話して風呂に入るのも忘れ「まぁいいや」と先延ばしたりして「また今日もダメだった」って自分に嫌気がさす事も。

そんな日を私は何度も経験してきました。

「なんでこんなことも守れないんだ?やらないんだ?」

こんな自己否定を抱く事も。

皆さんもないでしょうか。

ですが自分を責めるのは今日でおしまいです。

これは決して怠けではなく、心と体が「もう無理、好きにさせて」って、静かに叫んでいるという事が分かりました。

なぜ風呂や睡眠を先延ばしにしてしまうのか? エビデンスレベル2

一日の終わりに風呂に入る・歯を磨く・寝る。当たり前ですよね?
そんな当たり前が、なぜかできない日があります。

「不眠もってるし・・」
「ちょっと鬱っぽいし・・」
「普通にめんどいんだよねぇ、やった方がいいのはもちろんわかるよ・・?」

脳科学では、疲労がたまると「未来のための行動」先延ばししてしまうことが知られています。
つまり、疲れすぎて自己管理ができないのではなく、疲れすぎたからこそ自己管理できない状態なんです。

そこには、責められるべき怠惰ではなく、癒されていない心があるのかもしれません。

もちろん、その不眠や鬱状態も「そんな事でストレスになってるの?」他者から理解されないストレス理解されないストレス、それを独りで抱えるストレス蓄積による疲労で、当たり前の行為を先延ばしし、不眠などの状態を抱える事も十分にあり得ます。

自我消耗
意思決定や自己制御に使う力は有限で、疲労により消耗されると自己管理が困難になる。

Baumeister et al.(1998)

未来の自己理論
疲労時には未来の自分が他人のように感じられ、ケアを後回しにする傾向が強まる。

Hal Hershfield(2011)

決定疲れ
 複数の選択を強いられると最終的に自己管理行動が崩れる。

Roy Baumeister

そこにある『満たされなさ』という心理

さて、ではその疲れが蓄積した結果、休息を取らずにスマホや動画、ゲームに速攻で流れてしまうのも理由があります。
これはただの現実逃避ではなく、心の避難所になっているという見方ができます。

矢沙玖
矢沙玖

私自身、すーぐ布団に転がり、動画を見ながら明日が近付くたびに次第に元気が無くなっていく経験が何度もあります。私だけではないでしょう。
その根底にあったのは『ちゃんとやれていない・真っ当に生きれてない自分』への罪悪感つまらなさと、どうしても報われない日々に対する空虚感でした。

ですが、この甘えやダラけとも思われがちなこの行動は、心の空腹を埋める精神衛生上正しい行為な可能性があります。
満たされていないからこそ起こる現実逃避ともいえるでしょう。

「あるある、唯一癒される時間だから遊んじゃうんだよね。でもこれただのダラけだと思ってたけど根拠あるのかな?」

もちろんあります。

情動調整行動
 感情的ストレスを軽減するために、スマホやゲームなど「即効性のある快」を求める行動。

Gross(1998)

快楽的逸脱
苦痛からの一時的逃避を目的快楽行動へ向かう傾向。

『現代の心理学ハンドブック』

今が苦痛だと本当は感じ取っているんですね。
苦痛ばかりであるバランスを取るために、義務に近い状態になっている睡眠や風呂を後回しにする事で、娯楽によって苦痛とは真逆の感情を手に取らないと自分が保てないというSOSによる行動です。

どうすれば自然にできるようになるのか? エビデンスレベル1

かといって、キャンセルしてしまう心理を理解されたところでOKとはならないでしょう。

キャンセルしてしまう心理が存在する事で、自分への苛立ちや不満は軽くなるでしょうし「なるほど、自分は本当に疲れているんだな」と視点を切り替える事も可能になったでしょう。

しかしそれで解決ではありませんよね?

ちゃんと寝たいはずです。
風呂に入って気分良くなりたいはずです。
歯磨き等、衛生を保ちたいはずです。

「確かにキャンセルしてしまう理論は納得した。でもきちんとやろうと思ったら意識や意志が大事だよな!」

お待ちください。
これは遠くないうちにいつか折れます。
気合のようなものを使う事は信用できる持続法ではありません。

「え?気合で続けた結果今は普通にできてることってあるんじゃない?」

これは気合でなんとか続けるうちに、偶然習慣化にする方法と合致したため、気合で何とかなる誤解しているパターンが多いです。

気合で続け、たまたま習慣になる考え

たまたま習慣化に成功した人の一部が「気合でやればできる!」と言いがちですが、これは偶然にも成功条件(小さな行動・環境的なサポート・タイミングなど)一致していたからという可能性が高いです。
よって、気合に頼ったところで再現性は低い事が挙げられます。

むしろ習慣化の成功者の多くは「仕組みを工夫していた」ことが研究でも分かっています。

行動経済学の「再現性バイアス(survivorship bias)」から
※ただし完全一致ではなく近い構造という立ち位置です。

いくら気合で短期間続けたとしても、習慣化に繋がらなければ長くは持たずに折れてしまいます。

自我消耗理論
意志力や自己制御力は限られた資源であり、使うたびに消耗するという理論。

つまり、気合に頼っていると、疲労やストレスもより蓄積し、疲労・ストレス多い日は「実行できない日」が当然発生します。
そしてそれを「自分の弱さ」と捉えるのは誤解です。

Baumeister, R. F., et al. (1998).
Ego depletion: Is the active self a limited resource?

気合を抽出する方法を知って無理やり乗り越えるのではなく、正しい習慣化の方法を知って99%持続可能な方針を作る事が大切です。何事も100%はまずありません。

ポイントは、意志の力に頼って「頑張る」ことではなく行動そのものを軽くしたり、例えば風呂なら風呂に入るメリットを知ったり、風呂=気持ちの良い空間という認識を強め、その行為をする仕組みを作ることです。

風呂、睡眠それぞれ、皆さん一人一人に適した習慣化方法があります。

矢沙玖
矢沙玖

私の場合は、知識を先に入れる事で意識が変わり、便利グッズや満足度上昇グッズを取り入れる事で満足が手に入る時間へと変化させました。

睡眠・風呂それぞれ、私の体験談と多くの科学的根拠を交え、習慣化しやすくなる方法は別の記事で紹介します。

結局やったことは『やるべきことという認識から心地よいことへ認識を変え絶対に取り入れたいと感じる仕組みに変えた』です。気持ちよくもない上に時間を無駄にしている感覚だったらやろうとも思わないですよね。

小さく整える工夫と習慣化のヒント

いきなり完璧は目指さないでください。絶対にです。ふりじゃありませんよ。
その理由は、うまくやれなかったら「全部が無駄」と感じてしまうリスクがあるからです。

完璧主義と行動の先延ばしの関係
完璧主義者は「完璧にできないならやらない方がマシ」という考えから、行動を避ける傾向が強い。
これは完璧でない自分に対する恐れが根底にある。

「今日は風呂に入れなかった。でも、着替えだけした」
といったささいな行動も前進とカウントしていいのです。
むしろ、そうしなければ続かない。

(Flett et al., 2002)

例えばこれだったら、私なら、毎日それではまずいかもしれませんが「やってるな」と感じます。

  • 風呂:湯船じゃなくてシャワーだけでもOK→3分で終わってもOK
  • 歯磨き:歯磨き粉つけなくてもOK→寝る前や起床時に口をゆすぐだけでも全然違います。
  • 睡眠:寝るべき時間の2時間前後ならズレてもいいんじゃないでしょうか。寝落ちでもいいのではないでしょうか。

Tiny Habits理論
小さな行動
(例:歯磨き後に1回スクワットする
を既にある習慣の後に結びつけることで、簡単に習慣化できる。
小さな成功体験の積み重ね「自分はできる」という自己効力感を高め、習慣が続きやすくなる。
気合ではなく環境設計行動のハードルを極限まで下げることが重要。

(BJ Fogg, 2020)

皆さんは
・風呂に入った
・歯磨きした
・寝た
と聞いて何をどうしてどうなったと想像するでしょうか。

例えば風呂なら
【30分じっくり時間かけて綺麗に泡を立てて洗い、泡で洗顔し、15分しっかり浴槽に浸かったら風呂に入ったと言える】
なんて完璧を想像してないでしょうか。

キャンセル癖の自覚があり何とかしたいと思うのなら、今の状態よりちょっとはマシ足せばやがてちゃんとやってるに変化します。

まとめ

当たり前ですが、自分を変える事は本当にエネルギーが要ります。
特に、心が疲れているときには変わるための力が湧いてこないのが普通です。

だからこそ、自分を責めずに、まずは理解してあげてください。
仕組みを知り情報が増えれば

「あ、え?そうなの?そうか普通だったんだ・・!」

この感覚がとても救いになり、じゃあどうする?が閃きやすくなりますよ。

皆さんも昔

「早く寝なさい」
「早くご飯食べなさい」
「早くお風呂に入りなさい」
「いつまで起きてるの?」
「ちゃんと歯磨きした?」

これらを鬱陶しいと思った経験があると思います。
現在進行形の方もいらっしゃるかもしれません。

でもこれを鬱陶しいと感じるのは、習慣化できていないからです。

「昔は親に言われながらもちゃんと風呂入ったりとかできたのになぁ・・」

実際はできてません。習慣化できていないがために強制力で何とかなっていただけです。

なので出来ていない自分を責める必要はありません。

習慣化が簡単ではない上に、疲れていると先延ばししたくなる心理があるのを知らないで自己否定してしまうパターンは本当に多いです。

小さな行動が、しょぼいかもしれないと思う些細な行動ですら、習慣化にはとても有効です

今回はここまでになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

『スタンフォードの自分を変える教室』(ケリー・マクゴニガル)

『あなたの脳のしつけ方』(池谷裕二)

『習慣超大全』(BJ・フォッグ)

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