行動できない自分にイライラする前に。決めたことが実行できない理由とその解決策

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この数字はAI(ChatGPT)による情報源の分析結果と著者の評価を基に設定しており、元となる参考文献は記事内に掲載しています。
「また行動できなかった」「自分がダメすぎて嫌い」

実は行動できないことには理由があり、心理学や脳科学でしっかりと解明されています。

今回は、行動しないメカニズムとその解決策について科学的にアプローチしていきます。
自分にイライラして苦しむのを今日で終わりにできるとしたらどうでしょうか。

行動できない理由とは?心理学的メカニズム エビデンスレベル2

行動できない自分にイライラする人は多いですが、行動できない理由には心理的な要因があります。

自己効力感が低下している

自己効力感とは「自分にはそれを達成できる」という信念のことです。
この感覚が低いと、行動を起こす前に「どうせ失敗する」と思い込み、実行をためらうようになります。

バンデューラの自己効力感理論では、自己効力感が高いほど行動を継続しやすいとされています。
自己効力感成功体験や他者からの励ましで向上することも分かっています。

Bandura, A. “Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change.” Psychological Review, 1977

失敗経験が続いたり、一度の失敗で深く傷ついたり、周りから「君はどうせできないよ」と言われ続ける経験があると自己効力感が下がります。

ゆえに心のどこかで「どうせ自分がやっても上手くいかないだろうし、できても満足する結果は得られないだろうな・・」思ってしまっているため、やらないんです。

「え、できないって言われると見返したくてむしろモチベーション上がるんですけど?全員がそうとは限らないんだから『君にはできないよ』って断言してやるのも方法の一つでしょ」

それは自己効力感が並み以上ある人の話です。間違ってもこのような教育はしないでください。

「自分の事できないとは思ってないしむしろ、やればできちゃうタイプだと思ってるよ?でもなかなか行動できないから自己効力感の話は関係ないんじゃ?」

そのパターンは次に紹介する現状維持バイアスがかかっているかもしれません。

現状維持バイアス

現状維持バイアスとは、変化を嫌い現状にとどまろうとする心理傾向です。
新しい行動を始めることは、脳にとってエネルギー消費が大きくストレスを伴うため、無意識に回避する傾向があります。

神経科学の研究によれば、脳は新しい行動を始めるよりも、慣れた行動を繰り返すほうがエネルギー効率が良いとされています。
これは「快適ゾーン(comfort zone)」にとどまるための本能的な反応です。

Kahneman, D. “Thinking, Fast and Slow.” 2011

コンフォートゾーンは聞いたことがあるかもしれませんね。
私がよく使う「脳は変化を嫌う」という表現はこの理論から来ています。

挑戦よりも安定を重視したり、知っている事しかやろうとしない考えもこれにあたります。

だからこそ慣れてることをやるのってすごく楽で負担が軽いんです。
そして、慣れてない事をやるのって腰が重いんです。

選択の多さによる意思決定疲労

意思決定疲労(decision fatigue)とは、多くの選択肢を抱えた結果、行動力が低下する現象です。
やるべきことが多すぎると、どこから手を付ければいいのか分からず、行動を先延ばしにしてしまいます。

意思決定疲労は、心理学者ロイ・バウマイスターによって提唱されており、選択肢を絞ることで行動力が高まることが示されています。

Baumeister, R. F., & Tierney, J. “Willpower: Rediscovering the Greatest Human Strength.” 2011

例えば就職活動がしんどいのもこの現象から来ています。これに加え

「落ちたらまた仕事を探しなおさければ・・」「スキルもない自分じゃどうせ落とされる気がする」「普段やらないから余計にだるい」

と、行動ができなくなる条件を就職活動はしっかり満たしているんです。
もちろん就職活動がしんどい理由は他の要素もありますよ。

行動できるようになるための具体的解決策 エビデンスレベル3

行動しない理由が分かったら、次はその解決策です。あなたに合う方法はあるでしょうか。

小さな成功体験を積む

まずは自己効力感を高める事を狙います。

達成可能な小さな目標を設定し、それを達成することが効果的です。
たとえば「1分間だけ片付けをする」などの小さな行動で達成感が得られるなら簡単だと思いませんか?
今すぐ机の上を1分で整頓し、それができた自分を褒める事も十分スモールステップです。

小さな成功体験を積むことでドーパミンが分泌され、モチベーションが向上することが分かっています。

Schultz, W. “Dopamine neurons and their role in reward mechanisms.” Current Opinion in Neurobiology, 1997

「やらないよりはやったほうがマシ」をスモールステップとし、行動した自分という実績を感じれば自己効力感が高まります。
得たい結果に関係するスモールステップを探してみてはいかがでしょうか。

環境を整える

行動の邪魔をしてくる現状維持バイアスに対抗するためには、環境を変えることが有効です。たとえば、スマホを手の届かない場所に置く、家族に宣言し約束する、お菓子を没収してもらう、作業の道具を目に見える場所や近くに置くなど、行動しやすい環境にしてしまうのも効果的です。

強制力を自分で作るのも立派な自己コントロール能力です。

「え・・なんか子供みたい・・(笑)」

馬鹿にするより実践してから感想を述べましょう。

欲をコントロールしたり、自己制御を効かせたり、行動できる環境を作って成果を出せるのならどんどん使うべき方法です。

環境の変化が行動に与える影響は、行動経済学心理学の研究でも広く支持されています。
環境設計(behavioral design)は多くの実験で有効性が確認されています。

Thaler, R. H., & Sunstein, C. R. “Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth, and Happiness.” 2008

決断を完結にする

意思決定疲労を防ぐためには、選択肢を減らし、優先順位を明確にすることが重要です。
「今日はこれだけをやる」1つだけに絞ることで、迷わず取り組めます。

逆に、何をするか決めずに迷うような状況にしてしまっては行動を鈍らせ「Youtubeみたらやろうかな」後回しをしがちで、万が一Youtubeにハマってしまったらしばらくやらないでしょう。

選択肢を減らすことが行動力の向上につながることは、バウマイスターの意思決定疲労の研究で証明されています。

Iyengar, S. S., & Lepper, M. R. “When choice is demotivating: Can one desire too much of a good thing?” Journal of Personality and Social Psychology, 200

迷ううちにやる気がなくなったり、やる事を絞らなければならないと思うだけでやる気がなくなりますよね。
これも同様に、得たい結果に繋がるスモールステップを何でもいいので1つ即決すればいいんです。
参考書を手に持つだけでもOK
パソコンをつけるだけでもOK
ググるだけでもOK
求人サイトを開くだけでもOK
難しいでしょうか。

誰かに報告する

先ほど触れましたが、自分だけで頑張るのではなく友人や家族に「〇〇をやる」と宣言し、行動の報告をする所までセットにすると、モチベーションの維持に効果がある事がわかっています。

公表された目標は、他者からのフィードバックや監視が働くため、実行される確率が高まることが示されています。

Gollwitzer, P. M. “Implementation intentions: Strong effects of simple plans.” American Psychologist, 1999
矢沙玖
矢沙玖

私の例では、このブログ活動において「次回はこのような記事を書きます!」「3日に1投稿します!」と記事内で公表しているのもそうですし、周りにも宣言をしていますし、ホワイトボードに行動目標を書いて見える位置に置いています。
もちろん書きあげることは簡単ではないので「パソコンを開くぐらいはする」「執筆画面を開くぐらいはする」「見出しだけでも決める」「テーマを考える」と、スモールステップも設定しています。

つまり、勝手に周囲に約束をし、可能な限り周りを巻き込みましょう!

まとめ

自分を責めるのは今日で終わりにできそうですか?

「そういう理由があったのか・・・そりゃ行動できないわけだ」
「そっか、習慣になっていないと腰が重いのって当たり前なのか」

と思っていただければ執筆した甲斐があります。

行動できない自分を責めるのは、根本的な解決になりません。

行動しない理由には心理学的なメカニズムが存在します。
それを理解し、適切に対処することで、確実に変わることができます。

超簡単なスモールステップを実践して習慣になれば自己否定が終わるのなら、行動ができるのなら、順序が踏める自分を好きになれる日が来るのなら、あなたはどんな未来を手に入れてると思いますか?

さて、今回はここまでになります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考文献

『思考は現実化する』ナポレオン・ヒル

『ファスト&スロー(上下巻)』ダニエル・カーネマン

『スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル

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