あなたは過度の一般化をご存知ですか?
言葉の通り、ある出来事があった時にそれを学習し「どこでも起こる、誰でもやる、皆やる、ああいう類のは全部そうだ」と、あたかも一般であるかのように主張する事を言います。
これは場合によっては差別的な考えになる事もあります。
例えば
「男性は女性を見た目でしか判断してない。だって過去にこんな事が・・」
こんな考え方も該当します。
このような考え方に対し「頭が悪い人の考え方です」とキツく主張し、警鐘を鳴らすあるいは皮肉を言う人もいます。
私も納得はできますし、気を付けてはいます。
実際に、そうではない人も大勢いますし、その考えを持ったままいると無意識に攻撃性を秘めた発言が出る事もあり、人間関係のトラブルの元にもなるのは経験済みです。
これを修正しないと、視野は狭まったままで思考も偏り、結果的に自分が痛い人間になってしまうということもあります。
過度の一般化は頭の悪い考えなのか? エビデンスレベル3
冒頭とは裏腹に、私は全てにおいてこの過度の一般化が正しくないとは思いません。
自分の身を守るためにも一定の警戒の方法として用いる事はむしろ戦略的だと考えています。
例えば
「昔絡まれたことあるから言うけど、夜中に出歩いてる奴はろくな奴がまずいないね。だから夜中に独りで出歩くな」
「経験あるけど、夜中の活動が頻繁な奴は変な奴が多いから仲良くするな」
聞けば人によっては傷つきますよね。
ですがこれは過度の一般化を使いつつ、自己防衛や警戒の意味を成していると考えます。
ここを「夜中に出歩いてる人が全員が変なやつとは限らないよね。だから自分も用事あるし夜中だけど外出しよう」と考えて案の定トラブルに巻き込まれたらどうでしょうか。
「なんで夜中に出歩いたんだよ。危ないってわからなかったか?」
「昼間でもトラブルに巻き込まれることはある。時間は関係ない」
こんな意見がぶつかり合う事が想定できますよね。
あなたはどう感じますか?
私だったら夜中という状況は絶対危険という過度の一般化をフィルターとしてかける事は身を守る上で必要な警戒だと考えています。
このように、一度の体験や偏見を参考にして自分の身を守る事をエラーマネジメント理論と言います。
エラーマネジメント理論
David M. Buss(デイヴィッド・バス)
人間は進化の過程で「間違えるなら、より生存に有利な方向に間違える」傾向を持つようになったという理論です。
例
茂みからガサガサ音がして「危険だ!」と逃げたけど、実際はただの風だった→無駄な逃走だけど命は助かる
茂みの音を無視して「気のせいだろう」と思ったら本当に捕食者だった→命の危機
この場合、茂みから音がしたら危険、茂み自体が危険のように過剰に一般化しても、リスク回避する方が生存確率が高かったという進化的合理性が働いています。
つまり「間違えるくらいなら、過剰に警戒した方がいい」という考え方を指します。
Martie G. Haselton(マーティ・ハセルトン)
実際に問題視される過度の一般化について エビデンスレベル3
先ほどは夜中という状況について取り上げました。
そもそも統計的にもデータが出ているため、過度の一般化というよりは相応のリスク管理に該当し、過度の一般化とは言えないかもしれません。
ではなく、このような発言についても見ていきましょう。
「ああいう働き方をしている人は」
「最近の若い奴は」
「女性に媚びてる中年男性は」
「年齢がこれぐらいの人は・・」
さて、既に怒られそうですが私はこのような考えは持ってません。
後ほど、私が持っている過度の一般化を公開しますのでフェアとさせてください。
このような考え方、もはや偏見を持っており、煙たく見たり見下したり、決めつけて接する事はもちろん過度の一般化の中でも頭が良いとは言えないでしょう。
ですが、一定の事実に基づいたり、自分の体験談を交え、自分自身が傷つかない・不利益を被らないために遠ざけるのなら戦略的だと考えます。もちろん何も起きていないのに攻撃は駄目です。
前提として、挙げられる働き方をしている人の中でも素敵な人はいます。
年齢関係なく若くても大人びた思考ができ、結果が出せる人もいます。
女性に媚びている男性でも、公平な考え方や優しさを分け隔てなく出せる人もいます。
過度の一般化をしてしまうと、これらの善を持った人たちも取り除いてしまい、損をする事もあるとは思いますが、それを覚悟でフィルターをかける事で自分が快適に生きられるのも人生の戦略としては時には必要でしょう。
エラーマネジメント理論にはこのような記述もあります。
進化心理学の理論では、人間は生存に有利なエラーをわざと犯す傾向があると説明されています。
たとえば、男性が女性からの好意を過大評価する(勘違いする)傾向は、進化的に子孫繁栄に有利だったために残った機能ともされています。「あの人すぐ勘違いしてちょろいよ」と言われるとすれば、恥ずかしい事ではなく進化の仕組みの上で残った事なので当たり前だったんです。
これをもっと広い視点で見れば「経験上、こういう人は危ない・こういう状況は何かに巻き込まれる」とやや過剰に一般化してしまうことも万が一のリスクを減らすための進化的戦略と解釈できます。
あなたが持つ偏見や友人周り、SNSで見られる偏見には、個人の一定の体験に基づいた防衛本能が隠れているのかもしれません。
新しい発見を遮断し、成長を止めてしまう可能性ももちろんありますが、同じ悲劇や過ちを繰り返す事になったり、最悪の場合大きなトラブルに巻き込まれる事だってあります。
「いやいや、じゃあ要領よく見極めればいい話じゃない?」
「実際のデータがある事と過度の一般化は別物じゃない?」
「過度の一般化で言いたいのは主語がでかすぎるという事なんだけどな」
要領よく見極めるほど余裕があればいいですが、常にそんな事をするのも時間と真剣の無駄遣いになる事もあり、もっと言ってしまえばめんどくさい事もあります。
それをショートカットするために実はこんな心理もあります。
ヒューリスティック
当たり前ですが、私達の暮らしでは特定の人や状況からしか情報がないわけではないですよね。
日々、膨大な情報の中で判断を下しています。
そのとき、いちいち論理的に全情報を処理していたら脳がパンクするのは言うまでもありません。
そこで脳は「過去の経験」「感情」「直感」「ルール化」などを元に効率よく判断をするショートカットを使います。
これをヒューリスティックと呼びます。
- 「夜道にフラフラ立ってる男→危険かも→避けよう」は、ある種のヒューリスティックです。
- 「黒い服=怖そう」「パチンコ=マナーが悪い人多い」などの印象的な判断も該当します。
ヒューリスティック
ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)
人が限られた情報・時間の中で素早く判断を下すために使う、簡易な思考の近道(ルールや直感)の事。
全部の情報を丁寧に分析しなくても
ある程度当たりをつけて素早く判断・決断するための心のショートカットです。
研究者は「人間は情報を完全に集めてから判断しているわけではない」とし、複雑すぎると、脳は自然に『近道思考(ヒューリスティック)』を使う事を明らかにしました。
これによって早く決められる反面、しばしば偏った結論やミスも起こる事を示唆しています。
よって、ヒューリスティック=素早いけど不正確な判断方法と定義されました。
エイモス・トヴェルスキー(Amos Tversky)
Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases
(不確実性下の判断:ヒューリスティックとバイアス)
過度の一般化は極端すぎる結論を出してしまう反面、一件ずつを正確に読み取るほど現代は情報が無いわけではないため、ヒューリスティックを用いて過度の一般化をし、自己防衛をしていると解釈もできます。
最後に、私の持つ過度の一般化とヒューリスティックを開示し、今回の記事をしめます。
まとめ
一部を偏見の目で見て、決めつけ、遠ざける事は過度の一般化であり、一部からは「頭の悪い考え方」だと揶揄されることもありますが、実際に嫌な目にあった経験があるのなら生存戦略としての偏見は理にかなっていると考えますし、エラーマネジメント理論にも該当する考え方だという事を書きました。
しかしそれを攻撃に用いたり、考え方を強要してしまうと、成長が止まったり、起こらないはずのトラブルを招く事があります。

私の場合は、喫煙者やパチンカスと呼ばれる人が大嫌いです。
仕事でパチンコ屋に伺った時の事です。
・我先にとドアをくぐる人物の多さ。
・仕事の邪魔をしている事にも気づかないどころか睨みつける。
・気に入らない事があったのか自動販売機を蹴る。
を何度も、複数のパチンコ店でも見てきました。
プライベートでも、自制が効かない話を聞くと大体パチンコ好きだったり。
喫煙者も
・場所を守らずに吸っている人間。
・運転席から灰を落とす行為。
・観光地などあらゆる場所でのポイ捨て。
・痰をその辺に吐く。
など、マナーもモラルも著しく酷い人間が圧倒的に多く感じた体験を持っています。
だから嫌いだし、遠くへ行ってほしいと考えています。
これを『偏見』だとして距離を詰めた経験もありますが案の定、モラルの悪い言動を多く見かけ「やっぱりな」となってしまった事も少なくありません。
と、ここまで書きましたが喫煙者でもギャンブル好きでも素敵な人は実際にいます。
私が信用して大切にしている人物の中にも喫煙者はいます。
喘息持ちの経験がある事を気遣い、吸う事を我慢してくれた人もたくさんいます。
散々笑わせてもらい、一緒にイベントに誘ってくれて参加するなど、楽しいゲームライフとしてくださった方がギャンブル好きだった事もあります。
身内や会社の人間を思いやる優しい人もいて、そんな人が喫煙&ギャンブル好きだったりもします。
しかしそれでも基本的に、喫煙者やパチンカスが嫌いです。
理由は、後者の方が少数だと考えているからです。
だから私は、喫煙者だったりギャンブル好きだとわかると一定のヒューリスティックを起こし、少し警戒する目で見る事があります。
なのでもし、同じような考えがあるとしてもおかしなことではないと考えています。
もののけ姫でもラストにサンがこんなセリフを言っていましたよね。
「アシタカは好きだ。でも人間を許すことはできない」
賛否両論あるセリフだと思いますが、自分をしっかり持っている芯のある考え方に感じました。
過度の一般化を持っているとしても、きちんとした理由と根拠をもって偏見があるとすればそれは賢いフィルターだと私は考えます。
さて、今回はここまでになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
『エラーに強い思考法』マーティ・ハセルトン
『進化心理学から考える心のトリセツ』デイヴィッド・バス
『なぜ人はエラーを犯すのか』ジェームズ・リーズン
『ファスト&スロー』ダニエル・カーネマン
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