都会が苦しい人と平気な人の決定的な違いとは?~感じ方の個人差に迫る~後編

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    この記事は『前編・後編』の二部構成です。テーマに沿った情報を二回に分けてお届けするものになります。
この記事のエビデンスレベルはです
この数字はAI(ChatGPT)による情報源の分析結果と著者の評価を基に設定しています。元となる参考文献は記事内に掲載しています。(ショートブログ除く)

都会ストレスの存在について、あなたは否定的でしょうか。
それとも

「あるある、都会のこういう部分が苦手なんだよねー」

と、感じているでしょうか。

実はこの都会特有のデメリットによるストレスは誰でも抱えています。

繰り返します。

誰でも抱えています。

都会に適応できているあの人も、無意識に抱えています。
都会に適応できている事と、都会のストレスなんか効いてない事は別物です。

「ほんと?でもそれによって何か起きてる?聞いた事ないけど?」

おそらく聞いた事があると思います。

都会ストレスの否定は矛盾が生じる エビデンスレベル2

さて、前編での繰り返しになりますが、都会ストレスの存在は否定できません。
都会ストレスが蓄積されることにより、こんな現象が起きています。

例えば、田舎と都会の人間関係の間でこんな事を聞いたことが無いでしょうか。

「田舎に旅行に行ったとき、人がみんな親切でびっくりしました!」
「都会の人は素っ気ない人が多くて冷たいイメージ・・・」

これは一個人の感想や一部の偏見ではなく、世論で聞く有名な評価です。

  • 「都会 冷たい」
  • 「田舎 温かい」

でググっても出るレベルの話です。

この原因として都会ストレスが根本となっている事が分かっているんです。

コルチゾールの値が高くなりやすく、下げる手段が削られている

コルチゾールとは、ストレスホルモンの事です。

たとえ無自覚だとしても知らない間に都会による音や光、人混み、情報量、他人の成果が間近で見える等、すなわり都会ストレスによる刺激でストレスは蓄積しています。

また、それにより蓄積されたコルチゾールを下げる手段も、田舎にはあって都会にはほとんどありません。

「え、なにそれ」

答えは自然です。

「ストレスホルモン?それなら娯楽めっちゃあるし大丈夫じゃない?」

娯楽で出来る事は発散です。
確かに、心に感じているストレスを減らすことはできますが、ドーパミンが分泌されノルアドレナリンがドバドバになり、満足感でごまかせているだけの話で、結果的には娯楽からくる刺激によってコルチゾールを増加させています。

そんなコルチゾールを減らしたくても、都会暮らしでは、ほっと一息つくリラックスした瞬間を味わいづらくなっており、ひと工夫必要です。
自然に触れる事が大きな効果がある事がわかっていますが、その肝心な緑は都会だとあちこちにあるわけではありません。

矢沙玖
矢沙玖

都会の公園に緑を求めて出歩いた事がありますが、リラックスなどできる状態ではなく、どこに行っても人はいますし騒音もします。

水を泳ぐ鴨を眺めていても、どこからか騒ぎ声が聞こえ、ひどい所ではポイ捨てが目立つケースもありました。

それでも街中と比べるとだいぶ良かったとは思います。

このコルチゾールの値が上昇しやすい事で様々な問題が起こります。

都会で暮らす人は、ストレスホルモンが上昇しやすい
ドイツ・マックス・プランク研究所の研究では、都会育ち・都会暮らしの人は、扁桃体(不安や恐怖に関係する脳部位)前帯状皮質(情動制御・社会的共感に関係する部位)が過活動していることが分かっています。

都会に育った人の脳は、社会的ストレス刺激に対して敏感であることがMRI検査で明らかになりました。

Lederbogen et al. (2011).
“City living and urban upbringing affect neural social stress processing in humans.” Nature

コルチゾール値が高くなると、冷静さ・共感・計画性が低下
ストレスにより慢性的コルチゾールが上昇すると、以下のような変化が起きやすくなることが分かっています。

情緒的反応の過敏さ(怒りやすさ)
睡眠の質低下 → 精神の余裕の減少
共感性の低下(社会的つながりの希薄さ)


よって、ストレスホルモンの影響で、脳の構造や機能自体が変化していく可能性がある事も示唆されています。

McEwen BS. (2006). “Protective and damaging effects of stress mediators: central role of the brain.” Dialogues Clin Neurosci

これが、都会の人が冷たいと考えられてしまう理由になっているんです。

「え?そう?今なんともないけど?」

実はこれが危機感を遠ざける落とし穴です。

他者との関係が長続きしなかったり、トラブルが増えたり、自分の感情が我慢できなくなったり、無意識に自分を優先しがちになる傾向が強くなっていくんです。

「あの人薄情だよ意外と」

こんな声が聞こえるとすれば、共感力の低下だったり自分の余裕のなさが裏目に出ている証拠かもしれません。

関東と関西の違い

「その話ってさ、一部の都会の事言ってない?例えば関西の人たちは温かいって聞くけどなぁ?」

まずお伝えしておきますが、都会の方々全員に当てはまるわけではありません。
いくらストレス値が高くても、他者とのかかわりを大切にできている方もいらっしゃいますし、コルチゾールを下げる習慣を自分で作る事は可能です。

また、都会だけに起こる現象ではなく田舎暮らしでもコルチゾールを上げ続ける習慣ばかりやっていれば同じことは起こるでしょう。

ただし、都会ストレスという存在が大きなハンデとなってコルチゾール増加の面では不利に働いているという話です。

よって、都会にいるから・行こうと思っているとしても都会を危険視する必要はありませんし、田舎だからといって安心しきるのは得策ではありません。

必要な情報と現実を知って今の自分に合うかどうか、対策可能かどうかを事前に把握し、今後の決定に繋げる事が大切です。この言葉過去の自分に言ってやりたいです。

さて、実際には関東と関西の考え方の違い論争がテレビで放映されている面もありますよね。
例えば先ほどのコルチゾールの話が本当なら、両者とも共感力が低くないと矛盾しますよね。

しかしこれにも理由があります。

文化圏の違い

東京
  • 武士文化の流れ江戸ですからね) 「公と私を分ける」「礼節を保つ」「あまり干渉しない」が美徳
  • 過密かつハイコンテクストな環境 → 他人に深入りしない距離の作法が発達
大阪
  • 商人文化の流れ → 「対話」「ノリ」「人情」「おせっかい」が生きる知恵
  • コミュニケーションが低コンテクスト → 会話や冗談が交流の基本

これを基に、関西の人が温かいと言われる理由を挙げると

  • 都会ではあるが「情の文化」が強く残っている
  • 「ツッコミ」「声かけ」が許容されるコミュニケーション土壌がある
  • 都市でありながらも集団的つながりを失っていない

という特徴があると言えます。

矢沙玖
矢沙玖

実際に西の生活では、例えばお店を回ってみても店主さん同士が仲良くしゃべっているとか、一人のお客さんのために他のお店の人に声をかけて在庫が無いかを確認してあげる風潮を見た事があります。

「よかったやん!あっちの店ならあるって、はよ行ってきいや!」

と言われたときは温かみを感じました。

「待った待った。それ根拠あるの?体験談と偏見じゃないの?」

繰り返しますが全員そうではないでしょう。

私の体験談のような事は関西以外でも起こるでしょうし、関西の方でも人との距離感をもっと空けたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。

しかし、一定の根拠も書籍もあります。

【関西:大阪】の情の文化の背景
商人文化の中心地(江戸時代以降)
大阪は「天下の台所」と呼ばれ、全国から物資や人が集まり商売が盛んだった地域です。
商売では信用と人付き合いが非常に重視されたため、会話力・親しみ・人情などがビジネスでも重要なスキルでした。

そのため「値引き交渉」「サービス」「おまけ」「顔なじみの関係」文化として根付きました。

おせっかいやノリが善意として機能する関西では
「いじる」「突っ込む」
といった行動が会話の潤滑油とされ、距離を縮める手段として用いられます。

井上章一(2002)『つくられた桂離宮神話』
宮本勝浩(関西大学名誉教授)「関西の商人文化と経済感覚」研究多数

【関東:東京】の距離を保つ文化の背景
江戸の武士文化
江戸時代、関東は徳川幕府の本拠地であり、士農工商の身分秩序と礼節文化が中心。

「他人に干渉しない」
「過度な感情を表に出さない」
「儀礼を守る」

といった価値観が発達。

近すぎない関係性が美徳
東京では、公共の場での静けさや礼儀、距離を保った対応が「成熟した大人」として評価されやすい。
距離を取るのは「冷たい」のではなく、相手のプライバシーを尊重しているという側面も強い。

内田樹『下流志向』(東京における他者との関係性)
原田曜平『さとり世代』
小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉』(地域による公共意識の違い)

このように「大阪には情の文化が残っており、東京には距離を取る洗練された礼儀文化がある」という点は、歴史と文化によって形作られた事実として、多くの研究者も共通して述べています。

ただし、時代が進むにつれ必ずしもこれに当てはまらないパターンが増えてきているのも事実です。

関係疲れや無関心化は進んでいる
昔ながらの人情・近所付き合い文化が残る大阪ですが、実際には若年層や移住者層で薄れてきている傾向があります。

たとえば、以下のような変化があります。

地元以外の地域からの転入者が増え「顔なじみ関係」成立しにくい。
SNSやスマホによる情報過多で、人とのリアルな接触が減少。
経済的なプレッシャーにより、人情よりも効率優先する価値観が増加。

参考日本都市社会学会「都市部の人間関係に関する調査報告書」
(大阪市、東京23区、名古屋市を比較)
矢沙玖
矢沙玖

書籍などで確かめるのも良いですが、お年寄りの方と会話をして確認するのが一番早いかもしれません。

都会に住む人は「周囲の人が多すぎて一人ひとりに関心を持っていられない」という心理的防衛を無意識に行います。(都市心理学で「刺激過多の自己防衛」と呼ばれます)
大阪でも、駅や商業施設では「無関心」「他人に干渉しない」態度が観察されます。

人口密度の高い都市では「刺激過多」により他者に無関心になる傾向があると示した都市心理学の古典的研究もあります。

Milgram, S. (1970). “The Experience of Living in Cities”
「なんか・・これだけ聞くと都会での暮らしってハードじゃない?」
「どうやって都会の人たちは上手くやってるんだろう?」

私も気になります。
科学的にはこんな説があがっていました。

都会での生活を快適にする工夫 エビデンスレベル2

多すぎる情報や刺激を自分で自覚して処理できるよう習慣を組んだり、自分で無自覚にシャットアウトしたり、必要な事を自分で調べて取り入れる事をやっている。というのが結論です。

「そんな意識高い人みたいなことしないと暮らせないの?」

意外と地方でも中都市でもやっている方はいます。

順番に解説します。

デジタル・デトックス
「いやいや、やってないよ!」

たしかに、これは私も難しいです。

ですが完璧でなくとも少しでもやっていれば効果はあります。

一日15分、何も考えずに「何もしない時間」を設ける事も正しいです。

森林動画(キャンプ動画や動物動画もOK)寝るときに波音などの音を流している事も効果的ででDMN(デフォルトモードネットワーク)の回復をしているとも言えます。

要するに、デジタルによってドーパミンが出たりノルアドレナリンが出るような高ぶる行為から離れ、完全なリラックスをしている時間があるかがポイントです。

これはハーバード大学のマインドフルネス研究でも明らかになっています。

小さなコミュニティがある

これは多くの人があるでしょう。

ネット上の仲間でもいいんですよ。

合わない大集団に身を置くよりも、自分に合う3〜5人のつながりの中で生きる事が幸福値を上げると示唆されています。

オンラインでもリアルでも「分かり合える関係」を軸にする事が効果的です。

ダンバー数理論/幸福研究
環境のカスタマイズ

経験があるからこそ言えますが、音や匂い、光の影響は段違いで感じます。感覚過敏の自覚はあります。
そのため、五感の刺激をコントロールできるツールを使うというのは私もいくつかやっていました。

遮光・遮音カーテン、耳栓、暖色に切り替えができるLEDシーリングライト、アロマディフューザーなどが例で、感覚過敏対策研究でも効果があるとわかっています。

このように

「うるさいから住まいを静かな区にした」
「昼はコワーキング、夜はサウナ」

など環境の調整も非常に有効です。

言うなれば、我慢するより戦略を使って適応している方々もいるといったところです。

例えば、寝具を整えて疲れた体を最高に癒す部屋にしたり、私はやってませんがサウナを取り入れる事でストレスをカバーしたりも効果的です。

「人混み」を避けるルート・時間を自分で設計している

特筆する事もないかもしれませんが、通勤時間を早めたり、裏道を使ったり、バスの座席選びなど、人によるストレスへの工夫をしている場合もあり、有効です。

まとめ

いかがでしたか?

情報が多かったことでしょう、ここまでお疲れ様でした。

都会での暮らしという事に対するアンチなのかと思ってしまうかもしれませんが、決してそうではありません。

別の記事でも書いていますが、情報もないまま本当は向いてないかもしれないのに都会に移住すると大変な目に合う事も十分想定でき、そのような実際の声も少なくないですし、私もその一人です。

そして

「え?自分は普通に暮らせてるけど?もう住む気もないんだったら都会落としやめてくれない?」

といった反論を鵜呑みにしてしまう方々もいる事を想定し、この執筆に至りました。

繰り返しますが都会落としではありません。

慎重な判断をする上での情報としてお役に立てれば幸いです。

それでは今回はここまでになります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考文献

『脳を鍛えるには運動しかない』ジョン・J・レイティ

『あなたの脳のしつけ方』カイ・マーク・ハーシュフェルド

『つくられた桂離宮神話』井上章一

『下流志向』内田樹

『さとり世代』原田曜平

『〈民主〉と〈愛国〉』小熊英二

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