いくら睡眠の質が改善されるとはいえ、そもそもの習慣が無い方にとって、取り組むための第一歩はどうしても億劫です。
今回の記事では、それなりに第一歩へ抵抗が生じる半面、睡眠の質向上に効果のある取り組みを紹介します。
「これならどうかな?」と思える項目を自由に選んでみてください。
睡眠改善の習慣が全く無くても簡単に取り組めることは初級編で紹介しています!
カフェインの摂取に気を付ける エビデンスレベル2
カフェインを摂取する習慣がある方には難しい話となるでしょう。
と言われて何にカフェインが含まれているかご存じですか?
- コーヒー
- エナジードリンク
- 紅茶
- 緑茶
- コーラ
- 烏龍茶
- ココア
- チョコレート
などなど
カフェインにもメリットはあります。
完全に断つ必要はありませんし、メリットを感じているのでしたらおそらくそれは正しいでしょう。
結論、取り入れ方が重要です。
カフェインと睡眠にどんな関係があるのかをまずお伝えします。
※難しい話をするので少し飛ばしても大丈夫です
アデノシン
「Caffeine and Sleep: A Systematic Review of Evidence」(2017年)
脳内で自然に生成される化学物質です。
これは、起きている時間が長くなるほど脳内に蓄積されます。
そのアデノシンが増えると、脳の活動が抑制され、眠気を感じるようになります。
カフェイン
カフェインは、アデノシンと似た構造をしているので、脳内のアデノシン受容体に結合してしまいます。
これにより、アデノシンが受容体に結合するのを妨げるます。
その結果、脳は「まだ疲れていない」「眠くない」と感じるようになります。
そのため、眠気を感じにくくなり起きていられるのです。
カフェインの効果は個人差がありますが、摂取後30分ほどで現れて、科学的には6時間という数字が示されていますが、長時間効果が持続します。
なので、夜にカフェインを摂取するとアデノシンの作用が抑制され続け、眠気が抑えられてしまいます。
カフェインの摂取時間と睡眠障害に関するメタアナリシス。
うん、難しいですね。
つまりこういうことです。
カフェインの形は、眠気物質であるアデノシンの形にそっくりなんです。
本来は、アデノシン受け入れゾーンにアデノシンが入り込んで、仲良しこよしをしてくれるので、脳が眠気を感じてくれるんです。
ところがどっこい
アデノシンになりすましたカフェインは、アデノシン受け入れゾーンに入り込んでしまえるんですね。
「なんだねチミは!アデノシンじゃないな!?」となって、仲良しこよしが発生しないんです。
だから脳は眠気を感じてくれないんです。
これが、カフェインと眠りの関係です。
カフェインはしばらく体に残るので、この状態が続いてしまいます。
なので飲む時間を考えないと、本当に眠る時間に眠りづらくなることがあるんです。
運動 エビデンスレベル2
はい、きました。運動です。
運動は大事ですよ!というのは百も承知ですが、私はしてません。
ところで、運動したところで何故眠りやすくなると思いますか?
多少でも運動をして疲れる事で眠りやすくする
このように思っていませんか?答えはNOです。
私がお伝えする運動の目的は、体を疲れさせることではなく
副交感神経を働かせることなんです。いわゆる軽い運動ですね。
副交感神経って?
リラックス作用を起こしたり、促してくれる神経の事で
「うおおおお!やってやるううう!」
という状態で出てくる物質とは真逆です。
お話ししたい副交感神経とは、それと反対のものです。
「ふー・・・」
というリラックス状態が副交感神経を意味し、アセチルコリンという物質が出ている状態です。
軽い運動でこの物質を出すことを目的とするんです。
ではどうやってその物質を出すのでしょうか?
副交感神経を働かせる運動の実施
- 腹式呼吸を使った深呼吸
- 寝転がった状態で腕や足を伸ばすストレッチや猫のポーズ
でも十分に効果があります。
詳しい手法はたくさんありますので、ここでは2つだけ紹介します。
腹式呼吸
鼻からしっかり息を吸って、口から吐き出す。
そして、吸う時間より吐く時間が長くなるよう意識します。
これを数回繰り返すだけで副交感神経が働きます。
この時、お腹の動きや呼吸自体に集中すると瞑想というテクニックにもなります。
瞑想は心を落ち着かせる作用を更に得る事ができます。
さらに、眠る前に行うとナイトルーティンの形成に効果があり、脳に「あ、これから寝るんだ」という合図を送る効果も期待でき、さらに睡眠改善がはかどりますよ。
ただ、鼻炎や慢性的な鼻づまりの方には大変難しいです。
ちょっと鼻炎の話をしますね。
私は鼻炎を患っており、モンテルカストという医薬品を医師からの処方と合わせて
ロラタジン、エピナスチン、フェキソフェナジンという鼻炎薬があり、こちらは薬局でも手に入る薬があるのですが、その中の、ロラタジンとモンテルカストを組み合わせて服用しており、点鼻薬も服用して鼻呼吸が多少できるようになっています。
また、依存性がかなり強いですが、数時間の間、鼻のとおりが非常に良くなるナザールという市販の点鼻薬を使用することがあります。
矢沙玖※しかしナザールは、血管収縮作用のおかげで鼻のとおりが良くなるといったイメージなので、根本的解決にはなりません。
特にこのロラタジン、エピナスチン、フェキソフェナジンの3種類の使い分けが少し難しく、症状の度合いによって適しているものが異なるんです。
なので「飲んでるけど全然効いてない」という場合は成分が症状に合ってない可能性もあります。
私がかつて学んだ知識と今とでは、異なっている可能性もありますので、お悩みの方は医師に相談をしてみてください。
※使用を検討する場合は、医師や薬剤師、登録販売者に相談をし、用法容量を守って服用してください。
では、次の項目へ行きましょう。
ストレッチ
寝転がったままでもいいので、体を伸ばすだけでOKです。
「んあーーーーーっ!」となるような伸びもいいですね。
こちらも眠る前に行うとナイトルーティンの形成に効果があります。
副交感神経が優位になっているときは、交感神経は抑制されますので、リラックスを始めることができれば、どんどん落ち着いていきます。
交感神経がアクセルとすると、副交感神経はブレーキとして例える事ができます。
アクセルとブレーキ、どちらも作動させることはできないか、壊れますよね。
自分に合ったリラックスモードに入る時は、刺激が入らないように意識してみてください。
何度もお伝えしますが、少しずつで構いませんよ。
運動の種類や強度によって、睡眠に及ぼす影響は異なります。
「Effects of Exercise on Sleep: A Review」(2019年)
よって、運動が睡眠改善に効果がある事も確かです。
仮眠に気を付ける エビデンスレベル3
仮眠は物凄く大事という反面、仮眠をとる時間帯と時間数に気を付ける必要があるんですね。
眠かったら仮眠を取るのは正解です。
ただし、色々な説がありますが基本は20分以内におさえてください。
20分で抑えられない場合は30分以内。
逆に、1時間近い仮眠は逆効果という説もあります。
これは睡眠慣性という現象で説明ができます。例えば30分~1時間眠ってから起きるとなると、深い眠りに移行したばかりの段階で起きる確率が高く、睡眠慣性が働きやすくなるため、体がしんどくなることがあります。
睡眠の質も一気に落ちます。
また、仮眠を取ると再度寝る事が大変になる場合が多いので、基本的には本格的に寝ようとする4時間ぐらい前までには仮眠を終わらせてください。
もちろん個人差があります。
例えば23時に寝たいとして、仕事帰りが18時だとします。
帰ってきてすぐ20分だけ眠るのは有効ですが、食事を済ませたりお風呂を済ませてからの仮眠になると、23時の入眠に支障が起きやすいんです。
かといって、帰ってきて20分だけ眠る事が本当に支障がないかと言われれば、正解がない、というのが答えです。
発言に保険をかけてるつもりはありませんが、正解がないので個々がやってみて見つけるしかない、ということなんです。
睡眠サイクルと呼ばれる体の仕組みにうまく対応するため、仮眠時間は目安20分として数値が挙がっています。
日本ではほとんどの人が睡眠不足なので、仮眠は本当に効果的ですが、正しく取らないと恩恵を受けられないわけですね。
夜眠れないから、と仮眠を避けるのももったいないんですよ。
仮眠は20-30分以内で、しっかり眠りたい時間の4時間前までに済ませるのがおすすめです。
おわりに
何気なく認知されていた行動、簡単そうに見える行動、と挙げましたがわかっていても習慣にするのには苦労すると思います。
さて、次回はこの取り組み難易度中級編の最後をお届けしますよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
※副交感神経や交感神経の仕組みのお話は、登録販売者という資格の教科書にも多数記載がありますので、特別に記載はしていません。
参考文献
『快眠のための科学』田中克明
『自律神経を整える本』大西睦子
『カフェインのすべて』ベンジャミン・ダフナー
『運動とストレス管理』宮崎義憲