他人のsnsに対し、不気味、醜い、いやらしい、と思ったりしませんか?~前編~

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    この記事は『前編・後編』の二部構成です。テーマに沿った情報を二回に分けてお届けするものになります。
この記事のエビデンスレベルはです
この数字はAI(ChatGPT)による情報源の分析結果と著者の評価を基に設定しています。元となる参考文献は記事内に掲載しています。(ショートブログ除く)

今回のタイトルはなかなか攻めたつもりです。
というか、このタイトルに決まる前の仮タイトルは

『「他人のSNSきも・・・」と思っても正常です』

というタイトルだったんですよ。攻めきりたかったですが、表現の自由があるのでさすがに控えました。

「そんなタイトルつけて何を読者に問いたいの?」

答えは

他人の投稿に対し「それなんで出した?」と思ってしまうほど、醜かったりいやらしく見えたりする事ありませんか?という事を投げかけたい。

です。

矢沙玖
矢沙玖


私もかつてSNSを少しだけかじりましたが、周りのすごい投稿の数々に圧倒され、内心このようにも思っていました。

「これから肝試しwww今年8回目ww」→勝手に行けばいいじゃん・・・?

「駅でばったり会ったから写真とるよねw」→個人でやれよ・・・

「今年の同窓会は12人!結構集められた方では?」→う、うん

「やべえええ!超楽しいー!」→ん?何が・・・?

もちろんあくまでも個々が自由に発言していい場です。
そうとわかっていても違和感が消えませんでした。
それでもってSNSって、フォロワーのフォロワーの投稿が回ってくる事ありませんでしたか?

特にこの内容はまじできもかったです。

「XXへ行ったらたまたまXXと会った、そしたら二人してタイプの人いて、知らない人だけどめっちゃ声かけたかったわー」きんも・・・・・

なのですが同時に「自分の器が小さいなぁ」とも思ってましたし「さっさとSNS辞めなよ」という言葉がぴったりでした。

しかし今では、他者を気持ち悪く思う事に対し「自分が悪いのかなぁ・・」と、もやもやする状態に苦しむのは私だけではないと思い、学びました。

挙げた例こそ、若い感覚の物ではありますが、歳を重ね人でも似たような投稿はまだまだ見受けられます。

結論、それらの投稿に苦しむ必要ありませんよ。自然な感情です。

  • 共感ギャップ
  • 自己関連性
  • 期待違反理論

の3つの観点で説明がつきます。

他者の言動を気持ち悪く思う心理 エビデンスレベル2

さて、他人のSNSの投稿を見て「なんでこんなものをわざわざ投稿したんだ?」と思ってしまう瞬間、誰でも経験があると思います。

例えば
筋肉アピールなどのような強さを象徴する画像や、頻繁に人脈を自慢するような投稿幸せそうな集合写真
などが目に入ると、あらゆる不快感が生じる可能性があります。

一般的によく使われる「きもい」という言葉が飛び交いそうですね。
私のブログの記事でさえも、見る人が見れば「きもい」と感じることもあるでしょう。

これらのような発信をする気持ちがわかる人は何とも感じませんが、わからない人からすると「きもい」と感じる事があるんです。

ですが、そのように思ってしまうことは実は既にこれから紹介する心理現象で説明ができます。
あらゆる研究で報告されていて、原因もいくつも仮説が立っており証明されているんです。

共感ギャップ

ある感情状態にいるときに、別の感情状態を理解しにくくなる現象をさします。
特に自分が関心のないものや経験していない感情に対して、他者の視点を理解しにくくなる傾向があります。


怒っているとき→「冷静になればいいじゃん」と言われても理解できない。
幸せなとき→ 落ち込んでいる人の気持ちがわからなくなる。
SNSで筋トレ報告を見る→「そんなこと報告してどうするの?」と共感できない。

ジョージ・ローウェンスタイン
『Out of control: Visceral influences on behavior』1996

自己関連性

ある情報が自分に関連しているかどうかによって、その情報の受け止め方が変わるという心理現象です。
特に、自分の価値観や行動と関連性が強い場合、その情報に対して肯定的または否定的な反応を示しやすくなります。


「成功者は人脈が大事」という投稿を見たとき
自分が人脈を築いている人→「そうだよね!」と肯定的に受け止める
自分が人脈作りをしていない人→「うざい、意識高い系きもい」と反発する

ダイエット中の人がSNSでお菓子の写真を見る
お菓子好きな人→「おいしそう!」
ダイエットを頑張っている人→「誘惑しないで」とイライラする

エリオット・アロンソン
『自己概念』

期待違反理論

人は他者の行動に対して期待を持っており、その期待が大きく裏切られると、不快感や驚きを感じます。
学術的に確立された理論で、多くの研究で支持されています。

Judee K. Burgoon(1978)

これらの心理現象が生じている例 エビデンスレベル3

では私のブログを例に挙げて解説します。

例えば私のブログ

一部の人から

「何だよこのブログ、面白さがないぞ!つまんな!!」

と思われていた場合。

これは読者の方が「有益な情報が得られるかもしれないor得られるものだorちょっと笑わせてくる場面が欲しい、読みやすさや情報を得られるまでのスピーディさはあるだろう」と期待していたところ、期待とそぐわなかったと解釈できます。

つまり、自分に関係がなく得でもなんでもなかった!という結果が自己関連性を満たせず不快感を抱いたうえに、期待違反理論もはたらいている。
という事になります。

さて、では次に

「なにこれ?知識自慢?知ってますよアピール?っていうか、にわかレベルじゃない?個人でしまっとけよ」

と感じる人の場合は共感ギャップで説明できるかもしれません。
これは

「この程度の知識だったら自分だったら恥ずかしくて発信できないよ」
「自分が学んだことをわざわざ人に言うとか理解できない」
「能ある鷹はって言うでしょ。知識を披露してるようだけど隠した方が賢く見えるかな」

といったように、行動原理がそもそも理解できない、そのような価値観を持っていない場合は否定的に感じ、気持ち悪いとすら思い、嫌悪することもあるでしょう。

この共感ギャップ+自己関連性と重なった場合、そしてそれらが大きいほど、人は違和感を強く抱き、結果として攻撃的になる事もあるでしょう。

見るに堪えない煽り文章や暴言、見たことありませんか?

要するに? エビデンスレベル3

まず前提として

例えばSNSの場合だと、他人が「何を投稿すべきか」「どういう目的で投稿しているのか」「こういう発信はダメでしょ」という個人的な基準

それは個々が無意識に持っているものなんです。
それがズレると違和感や嫌悪感を抱いてしまうということです。これを抱かないように気を付けるのはほぼ不可能です。

抱かないためには、個人の価値観や世界観が広くなったり、知識をつけてあらゆる想定の幅が広がったり、柔軟な考え方ができるようになるほかないでしょう。

意図的に「こんな事思っちゃダメだ」とか「こんな風に人を思う自分の方が醜い」と、自分が抱いてしまう感情を制御しようとしたり無理に変えようとしても意味がないんです。

無意識のうちに、自分の今の価値観で何かへの期待を決めてしまうわけです。

スキーマ理論

人は過去の経験や価値観に基づいて情報を無意識に整理・解釈し、期待や判断を形成します。
よって、SNS上においても、過去の経験や価値観によって他者の発信に「何を期待するか」に影響を与えている事が言えます。

フレデリック・バートレット(1932)

無意識に主観を押し付けている エビデンスレベル3

さて、ここまでの話だけを持ち帰って記事を閉じるのはお待ちください。

このままでは

「自分の知識や視野が狭いから不快感を抱いてしまうのか・・」

という結論になり

「悪いのは他人ではなく自分だったのか・・」

自己嫌悪になる流れで終わってしまいかねないからです。

共感ギャップ・自己関連性・期待違反理論・スキーマ理論で説明した通り、SNSの投稿も、あなたがそう思うのも、実はどちらも悪くないという事を意識していただきたいんです。

そもそも、知識や視野が狭いから不快感を抱くというのは決して悪い事ではなく、その不快感に従って人を攻撃したり、誰かに迷惑をわざとかけるというのが悪いだけの話です。

人生が続くうちは必ず価値観も広がりますし変わる事もあります。知見も広くなります。
に縛られないようにしてくださいね。

逆に、あなたの発言に対して

「え?なんでこの人かみついてくるの?」

と思ったことありませんか?

それこそその人が、これまで紹介した心理現象を起こしている可能性があり、その人の知識や視野が狭いから、勝手な期待を押し付けてきて勝手に裏切られた気をして攻撃してきているかもしれません

つまり、SNSに限らず誰かの言動を気持ち悪く思ったりすることは自然で、無意識に自分の中の価値観で他者への期待を勝手に決めてしまい、それとは違う結果が起こるから不快感が生じるんです。

要は、期待しちゃってるんです。人に。

考え方を広げても理解しきるのは無理

さて、確かに視野を広げる事ができれば、あらゆる状況が理解できるようになり不快感を抱きづらくなること事実です。

しかし、日本の人口だけでも2024年でいえば1億2488万5175人と言われているので、極端なところ、日本だけでも個人の考え方や価値観やその組み合わせが1億2488万5175パターンあるというわけです。

よって、全ての人の期待に応えたり、不快感に誠実に向き合ったりしきるのは、無理だと思いませんか?

だからこそ、SNSで言えば自分でミュートをするなりしてシャットアウトするのが賢いんです。

本人達は、生物学視点で見れば重要な主張をしている エビデンスレベル3

さて、先ほどまでは不快感を抱く側についての解説をしました。

では今度は、そういった発信をしている人達にどんな意図があるのか?

これを解説していきますので、他人に不快感を抱きにくくなるためにも、知識を手に入れてボキャブラリを増やす手段となれば嬉しいです。

進化心理学が関係している

例えば、筋肉アピール金持ちアピール金持ち匂わせを例に挙げてみましょう。
ゲームだと、クリアタイムを投稿するとか、自分の装備を公開するとか、色々ありますね。

これは進化心理学的では、特に男性自身の強さや優位性をアピールするための本能的な行動と解釈することができるんです。

男性は他の男性に対して自分は優れているんだという優位性を示すんです。
そうする事によって女性から

「『あなたは強いパートナー候補である』と思ってもらうんだ!

という生物学的な動機があるとされています。

他の男性から「あなたは男性として、上司として、先輩として、人として優れています」と、優位性を感じてもらう事も目的になっていたりします。

「論破したった」とか「喧嘩ふっかけたらあいつびびってたわ」とかそういうのも該当します。

わざわざ人に言う必要がないと一見思えても、本人にとっては無意識で

「自分の優位性を示したいんやああぁぁ!」

という欲求があれば、わざわざ公開するんです。
しかもそれが習慣化していたり、快楽に繋がっているのならばなおさらです。イイネがもらえるなど、報酬系が刺激されるところまでセットになっていれば完全にハマり込んでいるでしょう。

ただし、必ずしもこの心理に沿って全てを説明できるわけではありませんのでご注意ください。

調和性や社会的ネットワークの広さ

次に、女性に多いとされる幸せそうな集合写真だったり、人脈アピールについてはこの、調和性や社会的ネットワークの広さを示したい欲求が隠れていることがわかります。

これは、自己の生存や繁殖に有利な状況を示すための行動だと考えられています。

大昔の雌の役割は、正しい情報を手にし、敵となる者を追い払うこと。
それこそが、生きていくため命を繋いでいくために必要な能力とされてきました。

これを現代のSNSに置き換えてみると

  • 自分に任せれば幸せな組織を作る事ができる。
  • 自分は正しい情報がたくさん入ってくるような人間だ。
  • コミュニティ形成がしっかりできる人間だ。

だから

「家庭を作るなら自分に任せろ」

という優位性を示しているんですね。

読者の方々のあらゆる感情に触れかねないのであまり書きたくはありませんが、いじめが発生する理由もこの心理が関係しています。

いじめについて

いじめって数種類あると私は考えています。

  • 自分もしくは自分達の組織にそぐわないから迫害する。と言い換える事ができるパターン。
  • 自分の強さを示すために勝てそうな相手を傷つけるパターン。

迫害に成功すれば「敵を追い出す能力がある」と自己認識できますし、傷をつけて屈服させることに成功すれば「敵を倒す、従わせる能力がある」と自己認識できるわけです。

本人にとっては「能力を試したい実感したい、優位に思われたい」がために、非常に身勝手な行動を起こしているわけなんです。

なんとも迷惑な話ですね。

ただ、生物学的な観点から見ると正しいです。一つの種としての生存戦略としては合ってます。
生物としての「優秀さ」をアピールする無意識的な行為であり、本人にとっては非常に重要な表現なんです。

ただし、現代にはそぐわないです。

いじめに悩んでいた人、悩む人、今回の記事で少しでもすっきりしてくだされば幸いです。

矢沙玖
矢沙玖

いじめをする人々は、いつまでも種の本能に沿い、原始的な考えから成長しない時代遅れの愚で滑稽な人間です。

いじめの動機はめちゃくちゃしょうもないです。
本人たちは必死ですが知れば知るほど本当にくだらないです。

くだらなくない動機がしっかりあるのなら、いじめという卑怯な手は使わないべきです。

そんなものに振り回されるほど、あなたもあなたの時間も無価値ではありません。

それで受けた傷は、いつか誰かを救うための武器として否定しないで持っていてください。

まとめ

知識が広くなれば、自己否定を減らすこともできますし、妥協できる部分も増えるかもしれません。

ですが勘違いしないでください。
妥協する事と許すことは全くの別物です。

許せない事を許す必要は全くありません。
また、納得したからといって妥協を続ければ、あなたが損をします。

色々な知識をつけて広い視野を身に着けつつ、あなたにとって生きやすい方法を発見する事が大事です。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

『予想どおりに不合理』ダン・アリエリー

『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ(誠信書房)

『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか』ダニエル・カーネマン

『社会心理学』デイヴィッド・マイヤーズ

『社会的影響の心理学』E. アロンソン

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