「頑張れ」って時に鬱陶しく、辛くないですか?~「頑張れ」が秘める隠れた攻撃性~

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この数字はAI(ChatGPT)による情報源の分析結果と著者の評価を基に設定しています。元となる参考文献は記事内に掲載しています。(ショートブログ除く)
「頑張れ!」

こういわれて、悪い気はしないはずなのに悪い気がすることありませんか?

「多分自分の器が小さい」

本当にそうでしょうか。

矢沙玖
矢沙玖

「私のブログへようこそ!この記事を頑張って読み進めてください!記事で得た知識で人生を良いものにしてください!あなたならできます!頑張ってください!!」

こんなことが冒頭にあったらめっちゃうざくないですか?ならウゼェーってなります。2秒で記事閉じます。

「頑張れ」という言葉でもそうですが、熱い言動をかけられたときに、鬱陶しいと感じたり場合によっては憂鬱になる事、ないでしょうか。

周りは励まそうとしているのかもしれませんが、既に頑張っている人にとっては、むしろプレッシャー重荷になることが多いです。

また「頑張れ」という言葉は、人によっては「今が頑張り足りないから言われている」だとか「今の生活を変えなければいけないのか?」と解釈することもあります。
鬱陶しさを抱く経験はありませんか?

これは防衛本能からくる思考でもあるので、自分のことをやる気がないだとか器が小さいだとか、自己否定しないようにしてください。

なぜ「頑張れ」という言葉が辛いのか? エビデンスレベル3

「頑張れ」は努力を奨励するポジティブな言葉として捉えられることが多いですが、当然、受ける側の状況によっては逆効果となる場合があります。

特に、既に頑張っている人にとっては「もっと頑張らなければならない」という暗黙の要求に聞こえるのです。暗黙の要求・・嫌な言葉ですねぇ、うざいですよねぇ、強制するなって思いませんか?

一致なぜ、激励の言葉が本当に応援の意味がこもっているとしても逆効果になる事があるのでしょうか

既に頑張っている人への悪影響

「まだ足りないのか」と感じる

自分では限界まで努力していると感じている場合、「頑張れ」という言葉は自分の努力が認められていないように感じさせます。

「これ以上、何を頑張ればいいの?」と戸惑うことも。


休む余裕がなくなる

頑張れという言葉は、心の休息を許さないメッセージとして捉えることがあります。結果として心が疲弊し、燃え尽きる危険性があります。


自分の限界を見失う

頑張り続けることで、どこまでが自分の限界なのかが分からなくなります。

疲れ果てているのに対し、無理を続けてしまうこともあります。

自分なりの生き方ややり方を決めている人への悪影響

過干渉に感じる

当たり前ですが、生き方にしても、仕事の仕方にしても、人との関わり方にしても、個人の考えの基で決められた習慣があります。

そこに励ましであろうと言葉をかけることは、個人が決めた境界線を越えることもあり、そう感じた場合には過干渉と認識することは普通です。

例えば、昼に起きて十分に活動できているのに

「朝から起きて動いた方が人生得だよ、簡単だしちょっと頑張ってみたら?」
大きなお世話ですね。個人がそれが必要だと解釈したら勝手にそうなります。

というのが過干渉にあたります。

矢沙玖
矢沙玖

言ってしまえば私のブログもおせっかいであり過干渉です。

私からの情報を本当に必要とするほど、心の傷に悩んでいて解決したい緩和させたい。という人以外から見たら、鬱陶しいことこの上ないでしょう。

この過干渉がなぜ鬱陶しく感じるのか。
過干渉とはならずとも、億劫さを感じるのはなぜでしょう。

自分の習慣を指摘される億劫さ

人にはそれぞれ「一応このスタイルをなんとか見つけたんだけどなぁ・・」という億劫な気持ちを抱くこともあります。

自分の意志でもないのに自分のやり方を変える事って実はすごくストレスだったりします。
その正体こそ、自己決定理論という概念と自律性の侵略という理論を用いて説明ができます。

自己決定理論

自律性(Autonomy)
自分で選択し、行動をコントロールできると感じること。
例:自分で学ぶ内容や方法を決められる環境。
有能感(Competence)
自分が能力を発揮し、成功や成長を実感できること。
例:適切な挑戦と成功体験が得られる。
関係性(Relationness)
他者とつながり、受け入れられていると感じること。

エドワード・デシ/リチャード・ライアン
「モチベーション3.0」(ダニエル・ピンク)

自律性の侵略

自律性の低下

「他人の期待に応えるために行動しなければならない」
という感覚が生まれ、自分の意思で行動している感覚が薄れる

抵抗感や反発心
自分の行動が外部からコントロールされていると感じると、心理的な抵抗が生まれやすくなる。

動機の低下
内発的動機づけ(自分がやりたいから行動する動機)が減少し、外発的動機づけ(他人に期待されるから行動する)が主になる。

『「やる気」の心理学―自己決定理論とは何か』エドワード・L・デシ、リチャード・M・ライアン
「モチベーション3.0」(ダニエル・ピンク)

めちゃくちゃ簡単に要約します。

人は自分で考えて決めて行動することが幸せにつながるのに対し、人から言われて行動を変えたりすると自分の人生を生きていない。と萎えて、幸せではなくなってくる。

という事です。

頑張り続けると燃え尽き症候群になる エビデンスレベル2

燃え尽き症候群

過剰なストレスやプレッシャーに長期間さらされることが原因で発症します。

症状として、心が完全に疲弊し、やる気やエネルギーが枯渇する状態になります。

これを無理に頑張り続けると、心身の健康を損なうリスクが増大します。

そしてさらに、研究によれば「頑張れ」という励ましは短期的には効果があっても長期的にはストレスの原因となることが分かっています。
特に、感情的サポートや理解が欠如している場合「頑張れ」は逆に負担となり、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加することが指摘されています。

友田貴子(埼玉工業大学)「うつ病の人に『頑張れ』と言ってはいけない」をテーマとした研究
茨城大学からの研究

この事から、無責任「頑張れ」凶器であり無視すべき言葉だという事がわかりますね。

「頑張れ」を受け入れる前に、どんな背景を基に言われたのかを知ってみるのは、心を守るうえで非常に重要です。

燃え尽きからくる「頑張りたくない」という感情は自然

さて、ここまでの解説があるからこそ

「嫌です」「頑張りたくありません」自己決定理論燃え尽き症候群の観点から見れば正しい主張です。

「もう頑張りたくない」という感情は、決して怠惰弱さの表れではありません。

むしろ燃え尽き症候群にとっては、心と体が限界に達していることを示す重要なサインです。自己保護のために休む必要があると体が知らせてくれているんです。

冒頭でもお伝えしました。防衛本能からくる感情です。

しかし社会では「頑張ること」が美徳とされ、休むことに対して罪悪感を感じがちです。

社会からの「頑張れ」に抗い、自分の調子を信じ、時には休むことが大切です。

当たり前ですが休息はパフォーマンスを維持するために必要不可欠です。
疲れたときに無理をし続けることは、長期的に見て効率を落とす結果に繋がります。
だからこそ、面倒事に巻き込まれない範囲で頑張らないようにし、NOを言えるようになる必要があるんです。

最後に、NOを言いやすいように、無理に頑張らなくてもいいようにする方法をお伝えして記事をしめます。

「もう頑張りたくない」と感じたときの対処法 エビデンスレベル2

自分の感情を受け入れる

「頑張りたくない」と感じることは、自然な感情だとお伝えしました。
既に頑張っていて、休息のサインが出ているからでしたね。

だからこそ、それを否定せずに、まずは自分の気持ちと状態を認め、許すことから始めます。
「今の自分は頑張っちゃいけない時」という期間があることを認識するだけでいいですよ。

リカバリー(回復)の重要性

頑張り続けると交感神経が優位になり、回復が阻害されます。
人間の体はストレスを感じると交感神経が活性化し、心拍数や血圧が上昇し、戦闘・逃走反応(fight or flight response)が働きます。

しかし、これが長期間続くとコルチゾールの過剰分泌により、免疫機能が低下し、集中力や判断力が鈍ります。

逆に、副交感神経が優位になりリラックスモードに入ると体は回復し、ストレスによるダメージを修復できます。
つまり「頑張れない」と感じたときにそれを認識し休息を取るだけでも副交感神経の働きが促進され、身体的・精神的回復が進むのです。

(McEwen, 1998)
(Porges, 2009)

メンタルエネルギーの回復:エゴ消耗理論

「やる気の枯渇」は本当に起こる

人間の意志力(セルフコントロール)には限りがあり、使い続けると疲労し、意思決定が難しくなる現象をエゴ消耗と呼びます。
例えば、長時間集中した後に意思決定を求められると、判断ミスが増えたり、誘惑に負けやすくなることが実験で証明されています。
この状態では「やる気が出ない」「頑張れない」と感じるのは当然であり、無理に頑張ろうとするとさらにエネルギーを消耗し、結果的に生産性が下がるのです。

しかし「今は頑張らない時期」と認識するだけでも、心理的プレッシャーが減り、エネルギー回復が早まることが示唆されています。
つまり、頑張れない自分を責めるのではなく、受け入れることが回復の第一歩になります。

(Baumeister et al., 1998)
(Hagger et al., 2010)

周りに伝える

頑張れという言葉にプレッシャーを感じていることを、周りに伝えることも重要です。
「今はもう十分頑張っているので、少し休みたい」素直に話すのも大切ですよ。理解を得られたりサポートを得られるかもしれません。

むしろそこを強要する人がいれば「ヤバい人みーつけた!」と距離を取るべき相手を見つける事にもつながります。

科学的に見ても「頑張りを強要する人」は危険な場合があり、適切に距離を取るべき理由があります。

「ヤバい」という言葉を科学的に言い換えるなら、頑張りを強要してくる言動が心理的・生理的に悪影響を及ぼし、パフォーマンス低下やメンタルヘルスの悪化を招くと変換して説明できます。

これは
・学習性無力感
・脳の海馬が萎縮
・認知の歪み
・心理的安全性

これらの4つの点から証明できます。

(Seligman, 1975)
(McEwen, 1999)
(Burns, 1980)
(Project Aristotle, 2015)

休息を取ることを優先する

無理をしてさらに頑張ろうとせず、適切なタイミングで休息を取ることが、結果的に自分のためにも周囲のためにもなります。

定期的に休息を取ることで、心と体が回復し、再びエネルギーを持って取り組むことができます。

もちろん適切な休息ですよ。娯楽にのめりこむことが休息とは限りません。

ミラーリング効果

人は無意識に周囲の行動を真似るという心理学の法則の事を言います。

誰かがあくびをすると、つられて自分もあくびをしてしまう現象を例とする事ができ、それと同じように「頑張りすぎる人」が周りにいると、周囲も無意識に「もっと頑張らないと」とプレッシャーを感じてしまうのです。
逆に、あなたが適切に休むことで、周りの人も「休んでいいんだ」と思えるようになります。

これにより、組織全体のストレスが減り、みんなが適切なパフォーマンスを発揮できるようになるのです。

(Chartrand & Bargh, 1999)。

あなたの行動は無意識に周囲に影響を与え、適切に休むことで、周囲も「休んでも大丈夫」と感じ、健全な働き方が広がる事へ繋がります。

感情伝染

疲れやストレスは周りに影響する

人の感情は、周囲に「伝染する」ことが科学的に証明されています。
これは感情伝染と呼ばれ、特にストレスや疲労が伝わりやすいとされています。
「自分が疲れているだけだから、周りには関係ない」と思っていても、実際には周囲の人もその疲労感を無意識に受け取ってしまうのです。

例えば、疲れた状態のまま頑張ると
イライラしやすくなる → 周囲もピリピリする
小さなミスが増える → 周囲の負担が増える
口調がきつくなる → 周囲のモチベーションが下がる


逆に、適切に休むと
・リラックスした雰囲気が伝わり、職場や家庭の空気が良くなる
・冷静な判断ができ、余裕を持って周囲と接することができる
・コルチゾールの分泌が減り、チーム全体の健康状態が向上する


つまり、休むことは周囲のストレスを減らし、チーム全体の雰囲気を良くするという意味で「周囲のため」になるのです。

(Hatfield et al., 1994)
(McEwen, 1998)

「繁忙期は忙しいし疲れてしまうから、基本的に有給は好きな時に使って良いが繁忙期にはなおさら使え。使いやすい環境にしておくから」と社員をいたわった発言をする上司、上層部が存在する会社が実在します。

矢沙玖
矢沙玖

私も経験があります。
チームの活気が違いますし成績にもプラスに出ていました。

パフォーマンスと休息の関係『疲れた状態で働くと逆効果

「休むと周りに迷惑がかかる」と思っている人は「ずっと頑張っているほうが良い結果を出せる」と考えがちです。
しかし、科学的には「休息を取らないほうが、結果的に周囲に迷惑をかける」ことが分かっています。

脳の疲労とパフォーマンスの関係
疲れた脳は、注意力や判断力が低下する
疲労が溜まると、創造力が低下し、ミスが増える(これをするとこういう事故が起こるかもしれないという創造・想像力も含む)
疲労状態での作業は、酔っ払っているのと同じレベルでミスが増え


長時間労働の弊害
・週55時間以上働くと、心疾患のリスクが大幅に増加
・長時間労働の人ほど、生産性が落ち、会社の利益が減少する傾向


つまり、無理をして頑張るほど、長期的には「周囲に迷惑がかかる」ということが数字に出ています。
適切に休むことで、自分のパフォーマンスを維持し、結果的に周囲の負担を減らすことができるのです。

(Harrison & Horne, 2000)
(Dinges et al., 1997)
(Williamson & Feyer, 2000)
(OECD, 2018)

リーダーシップと休息

適切な休息がチームの士気を上げる

リーダーシップ研究では「優れたリーダーは自分の健康を大切にする」ことが分かっています。
これは、リーダーが休息を取ると、チームの士気やパフォーマンスが向上する事が分かっているからです。

リーダーが適切に休息を取ると
部下も安心して休むことができ、結果的に仕事の質が上がる
冷静な判断ができるため、的確な指示を出せる
ポジティブな雰囲気が生まれ、チームの生産性が向上する


逆に、リーダーが「休まない・頑張り続ける」状態だと、部下もそれに合わせてしまい、全体のパフォーマンスが低下することが分かっています。

(Goleman, 1998)

あなたがもし、誰かの上に立つ立場ならなおさら休息を取るべきです。

また、休むことの大切さをしっているリーダーは
「自分もちゃんと休みをもらってるから君も好きな時に休みを取りなよ」と声をかけてくれる風潮も実在します。

まとめ

「頑張れ」という言葉に対して鬱陶しさを覚えることは自然で、科学的にも実証されています。
鬱陶しさにとどまらず辛さを感じる場合は、心や体が「これ以上は無理」と訴えているサインだという事も疑ってください。

すでに頑張っているのに、さらに頑張る必要はありません。

そして、休むこともまた大切な選択肢であり、誰かにそのことを伝える事も、決して弱さではありません。

もちろん頑張るべき時もありますし、あなたを思っての激励である事も少なくないですが、自分の限界を知り、休むことを許すのも健康的な生活を送るためには重要です。

今回はここまでになります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考文献

「モチベーション3.0」(ダニエル・ピンク)

「バーンアウトの心理学」(久保真人)

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