このブログは3日に1記事投稿でお届けします。
※著者は資格者ではありませんので、お読みいただいて効果を保証するものではございません。
あなたはこんな言葉を聞いたことがないでしょうか。
「我慢して付き合うのが大人の対応だ」
この言葉、言われっぱなしで終わっていませんか?
実はこれ、めちゃくちゃ危険です。
結論からお伝えすると、慢性的な対人ストレスは鬱病発症率を30%も上昇させることがわかっています。
鬱病がどれだけ長く続くかご存じでしょうか?
早期発見で適切な対策をすれば半年以内が相場と言われていますが、鬱を無自覚に放置したり、鬱を否定して放置を続けた場合は何年もかかります。
私は正社員として社会復帰できるまで何年もかかりました。
我慢して付き合う行為の鬱リスク
鬱リスクの根拠について解説します。
このデータから、嫌な相手との付き合いを我慢すると、心の健康にとって大きな弊害となることが証明できます。
我慢した対人は鬱の発症率に留まらない
無理した付き合いがヤバい理由は、鬱のリスクが上がるだけではありません。
具体的に解説します。
無意識の搾取が起こるリスク
我慢して付き合う相手は、知らず知らずのうちにあなたを利用する可能性が高まります。
「当たり前になってくると扱いがぞんざいになる」
聞いたことがありませんか?
「あの子ならいいだろう」「まぁ何も言ってこないし」「いつもの事だし」「あいつノリいいし」「この関係で長い事やってきたし」「本人も気にしてないって言ってるし」
こうなったら搾取の始まりです。
平等という概念が抜け落ち、相手がどんどん自分勝手になっていき、あなたの負担を軽視します。
結果的に時間やエネルギーを奪われ、あなたの生活や目標を犠牲にする結果になる事は容易に想像がつきます。場合によってはパシリや金銭の負担、貞操観念の低下等にも繋がります。
距離を見直す準備を始めてください。
あなたの人生はあなたの物です
ストレスによる体への悪影響
当然ですが、我慢は心だけでなく、身体にも影響を及ぼします。
コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが増加し、その結果睡眠不足や高血圧の原因になることだってあります。
Q.睡眠不足が続くとどうなるでしょうか?
A.自律神経失調症のリスクが急増し、鬱のリスクもあります。もちろんこれだけではありません。
Q.高血圧になるとどうなるでしょうか?
A.心筋梗塞のリスクが急増します。こちらも、もちろんこれだけではありません。
大げさですが、我慢した対人を強いる行為は長期的に人の命にさえ拘ります。
さて、驚かせて終わるわけにはいきませんので、我慢のメカニズムと解決策までいきましょう。
我慢の原因を探る「なぜ我慢してしまうのか?」
あなたの経験もしくは周りで思い当たる節はありませんか?
社会的な思い込み
「我慢するのは大人の証拠」「我慢しないと社会でやっていけない」という誤解。
自分を過小評価する心理
「こんな事言ったら嫌われるかもしれない」「自分にそんな事言う権利ない」「これ言ったら怒られるかもしれない」という不安が原因で我慢を続ける。
習慣化された回避行動
「我慢した方が楽だしなぁ・・・」と、自らストレス源を避ける努力を怠り、我慢することを努力という勘違いを続けている。
これらの我慢行為を思いついてしまう原因
さて、もっと掘り下げましょう。なぜそんな我慢を選んでしまうのでしょうね。
自己保存バイアス
「人が自分を傷つけてくるのが嫌」「恥をかきたくない」「拒絶されるのは嫌」
という心理的傾向の事です。
このバイアスにより、対立や困難な状況を避けるために我慢を選択してしまいます。
これは、ロイ・バウマイスターが提唱した自己制御理論や、拒絶感情の研究から発展しています。
特に集団に属する必要が高い社会では顕著にでる事までわかっています。
例えば、上司や友人から理不尽な要求をされたとしましょう。
「この人を怒らせたら今後の人間関係が悪化するかも」と考え、知人にも「我慢した方がいいよ、それが社会ってものだし」と要求を飲んでしまうケースがこれです。
認知的不協和
このブログでは何度も出てきますね。
レオン・フェスティンガーが提唱した心理用語で、自分の認識と違う事が起きた場合の不快感を埋めるためにあらゆる行動をして不快を解消させようとする動きの事です。
今回の記事では
自分の行動や態度が信念と矛盾して、不快感を覚えたため、それを埋めるために矛盾した状況を合理化する行動をとります。
これが我慢の継続につながるという解釈です。
例えば「この環境、本当は嫌だけどこんな自分にはこれが妥当」と考え、嫌な環境を我慢する理由を正当化させる事がこれにあたります。
また、レオン・フェスティンガーが提唱したもので社会的比較理論という言葉もあります。
他人と自分を比較して、自分を低く評価しやすい人は「自分なんか我慢すべきだ」と思い込む傾向があり、これも我慢に繋がるわけです。謙虚と自己否定は違います。
誰かが過剰に頑張るのを見て「自分もこれくらい我慢しなきゃ」と無理をする事も同じです。心掛けるは「よそはよそ、うちはうち」ですね。
学習された無力感
こちらはマーティン・セリグマンが提唱しました。
困難な状況に何度も直面し、それを自分で変えられなかった体験が続くと「どうせ自分には無理だ」という心理状態になります。
この無力感は、環境を変える努力を放棄させ我慢を選ぶ原因にもなります。
例えばパワハラやモラハラを受けても「訴えても意味がない」「状況は変わらない」と感じ、現状を耐え続ける事が挙げられます。周りから「いや・・どうせ〇〇になるからやめた方がいいよ・・」と言われ納得しても同じです。この場合は相手も学習された無力感を保持してることがわかります。
ポリアンナ効果
我慢を手放す方法
読んでいくうちに、何をやっても我慢の原因になって億劫に思いませんでしたか?
実は私もこれを書いていて「え?どうやってもストレス源つくってる事になるじゃん・・」と、悲しくなる気持ちさえ芽生えました。
それぐらい現代では我慢が当たり前であり美徳とされ続けてきたんですね。
今の人が弱いのではなく、無理をさせ続ける結果いずれ訪れる、崩れる時期がやってきただけの話なのかなと思っています。
社会貢献を目的に我慢をするために生まれるわけでもなければ、そのために産むわけでもありません。
境界線を設定する
対人関係において、自分の時間やエネルギーを守るためのルール、決めていますか?
「嫌な相手とは最小限の交流にする」「返信はすぐにしない」
自分が狭くなるぐらいの境界線を引いて、相手の領域を広くしていないでしょうか。
あなたが快適に暮らすスペースを確保するためにも、適切な境界線を引いてください。
私も、権利の侵害すら感じれば調べて異議を唱えたり、相手の都合に合わせすぎない。「これって相手の都合だよな・・?」と見極める癖をつける事にしています。
NOと言う練習をする
小さなNOからでいいので自分を守ってください。
無理な頼みには、別の優先事項があると伝えたり、こちらの都合ガン無視なら嘘の用事をでっちあげてもいいでしょう。
私も過去は聞き入れまくっていましたが最近では「嫌です」ときっぱり言うようになりました。
「え、なんで?」と、もちろん言われます。
「すみませんがこれで手一杯です。それ以上は負担が多いですしちょっと面倒ですね。なぜ必要なのでしょうか?」と返してます。
さて、この一文を見てこう感じる方もいるでしょう。
「あー、最近よく聞く無能のくせに主張するタイプね。協調性ない奴こそめんどいよな」
あまりこういう言葉に飲まれないようにしてくださいね。認知的不協和による攻撃、と思ってもいいぐらいです。
協調性は大事ですが、過剰な協調性を求める事はわけが違います。
例えば会社で何のタスクもこなしていないのにこれを主張すれば給料泥棒です。
あくまでもタスクをしっかりこなしていて手一杯であること。それ以上を求めてくることに合理性がない場合に情報を集めたうえで返してください。
サポートを求める
トンネリング効果といって、視野が狭くなっている可能性もあります。
カウンセリングや信頼できる人への相談は、このトンネリング効果にとても有効ですよ。
心理的なストレスを解消できる期待ももちろん、それをきっかけに良い人脈が見つかる可能性もあります。
自分を許す
何より、我慢できない自分を責める傾向が時代の背景の影響もあり、顕著です。
我慢しない自分を責めなくていいです。
あなたが生きるために自然な行動であり、健康的な選択です。
健康で自然に生きるほうがパフォーマンスも向上しますよ。
あなたのペースを守る代わりに何かを生み出す。それで十分です。
今の状況が自分が望んでいる事なのか、望む事に繋がっているのか見直す
さて、その我慢状況。
本当に望んでますか?「いつか改善されるし、この我慢は未来のため」と、根拠のない望みを言い聞かせてそれっぽくしてませんか?
我慢を続けるためにエネルギーを割き続ければいずれ枯渇し、病へ発展する可能性をお伝えしました。
エネルギーは、自分が得たい結果のためにどんな行動が必要なのかを考え、実行するために使ってください。
まとめ
いかがでしたか?
我慢することは、自分自身を傷つける行為です。我慢も正しくやらなければ心身ズタボロになります。
自分の心と体を守るために、不要な我慢を手放してみてください。
とはいえ、あなたが信用する身内でさえ「一定の我慢は必要だよ」と唱えてくるでしょう。
その我慢が本当に正しい我慢なのかは、あなたにしかわかりません。
どこかの記事で、価値観の明確化や自己理解を深める内容をお届けし、正しい我慢を見つけるお手伝いが出来ればと思っています。
次回は【こんな人が我慢した対人を持ちやすい】というテーマでお届けします。
今回はここまでになります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献
それぞれ値段がかなり高い書籍なので本当に参考で構いません。
『無意識のバイアスを克服する』ジェシカ・ノーデル
『学習性無力感』クリストファー・ピーター
『心の社会』マーヴィン・L・ミンスキー